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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 53

「お陰で俺は今回の作戦に従事した功労者たちの勲章申請書類を書く羽目になったがね」
軍隊とは戦闘集団だが近代に置いては巨大な“官僚組織”と言う一面を持っており、極光艦隊もその一例である。艦隊行動計画書に艦載機運用計画の提出し終了に報告書に兵器、弾薬、軍需品の維持管理に補給、上級命令部との折衝根回し、部下の掌握に人生相談に人事……司令官になるとこれの決済もあるので大変であるが葵川は昔からこの手の事は起用である……何故予備役になったのか書類を見てある不正を見つけて問いただしたからだ。普通は青森にある海軍駐在所になるのだが、何故か東京海軍駐在所になった事は未だに不明だが彼の発見した不正のお陰で大規模軍事機密漏えいが阻止できたのでせめての配慮と言う説が大半を占めている。
「英文はタイプライターがあるから楽だが日本語書類は手書きだからなぁ」
更に彼は研究論文を書き慣れているのでこの手の書類作業は強いのだ。
「タイヘンデスネ」
「まっ、これだけ拿捕すれば敵偽装水上母艦も撤退するだろう……そして本格的に艦隊を繰り出してくるぞ」
「相手スルノデスカ?」
「どの連合艦隊が開いてするかは不明だがね……ただ地中海艦隊が来るとなると話は別だ」
ナチス独逸第三帝国海軍は地中海を聖域化する事に成功、建前上同盟国である伊太利亜海軍を含めた“地中海艦隊”を編成……ナチス独逸第三帝国海軍首脳部にとって悲願の航空母艦を中核にした機動艦隊であり今のところは中東の原油輸送防衛任務に鉄道敷設の為の人員や資材輸送にしている。旗艦はザクセン級一番艦ザクセンであり、後方支援はザクセン級二番艦で伊太利亜海軍総旗艦ローマである。開戦当初の伊太利亜の体たらくは海軍に留まらず陸軍や空軍にも及んでいたが最近は立て直しが図られているがそれでも不安な存在である。
つまりこの地中海艦隊は政治面が強い艦隊とも言える。
「Uボートを沈められたと一応マスコミには流しているが工作員にバレるのも時間の問題だな」
「拿捕した潜水艦は分析の後に亜細亜各国海軍に譲渡する話もあるそうです」
副長はヤレヤレと言う表情になる。
「ワルダー機関登載潜水艦は高度過ぎるが戦後を考えると潜水艦保有は一つの鍵になるし、自国領海を守るには海中の備えも必要だ」
後にこの作戦で捕虜になったナチス独逸第三帝国海軍士官の中には亡命を申請、亜細亜各国の海軍からの招聘を受けて自分が持つ技術を教え、その国で生涯を終えた者も出た。



その後、修理を終えたU−177は欺瞞工作の為に出撃……便宜上読み方はユ号潜01として登録している。
そして極光艦隊もボンペイを後にして一週間後、ユ号潜01に続々とUボートからの情報が集まっていた……途中撤退中の偽装水上母艦が接触を図ろうとしたが選抜された海坊主により艦内を制圧、独逸人海軍士官の協力により健在を装い、これは米国派遣英国救援傭兵師団の艦隊に引き渡された。
「司令官も大胆ですな」
「あちらさんは艦艇の数が少ないからな……統合幕僚本部からもなるべく彼らに便宜を図れるようにと通達が来たからなぁ」
葵川もヤレヤレと言う感じで頭をかく。いよいよ日米講和の本交渉が始まるので米軍との戦闘は避けたい……トルーマンも難しい舵採りの末、国民世論にそう形をとった、対第三帝国を撃つ為には日本の力が必要なのだ。両面作戦をするにはキツ過ぎるのである。
「しかし亜米利加の潜水艦が印度洋まで来ますかねぇ……」
「パナマ運河要塞だよ」
「確かに……しかし何故運河要塞を」
「二度も連合艦隊らが攻撃したからな……これはナチス独逸第三帝国にもその気になれば出来る訳だ。何よりも南米諸国にも親ナチス政権が出来れば」
「アメリカ大陸がセンジョウニナリマスネ」
「うむ、パナマ運河要塞はその際の防衛拠点にもなる、亜米利加政府としてはそのような事をさせない為にも諜報活動を強めるだろう。我が艦隊は第一にトリスタン.ダ.クーナ島での拠点構築が目的としている……ここは対南米への諜報活動拠点にもなる」
英国領であるこの島は大西洋にポツンとある群島群であり、トリスタン.ダ.クーナ島が最大面積を誇る。地理上島は数百メートルに及ぶ断崖絶壁に囲まれ、僅かに北西部に浜辺があるがここに港を構築しても収容しきれないのである。こうなるとナチス第三帝国は極光艦隊は南阿弗利加連邦のケープタウンを本拠地にするしかないと踏んで攻勢をかけるのだがそこはランドパワーに支配された国の考え……シーパワー国家である日本は巨大な人工港を構築する事にしているのだ。

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