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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 51

「ハルトマン少佐」
「ハイ、直ぐにアンゴウチョウニマニュアルノホンヤクヲシマス」
数人の日本人士官らと共に彼は駆け出す。
「ボンペイの手土産が出来たな」
この作戦により印度洋に展開するUボートの偽装潜水母艦が特定、更に新型潜水艦が拿捕出来た事は思いもよらない戦果であった。
「日進より連絡、Uボートが浮上し白旗を揚げてます」
「なに!」
日進は水上機母艦であったが瑞穂同様に船体延長工事に斜め航空装甲甲板化により航空巡洋艦であり、駆逐艦指揮の要になる戦艦である。今回は後方の輸送船団護衛任務にあたっていた。

「状況は?」
「敵潜はU−177、国際発光モールス信号によれば“バッテリーノコショウニヨリユウドクガスハッセイ、キュウジョヲコウ”、どうします?」
「救助を指示、ただし奇襲の可能性もあるので配慮しておけ」
「はい」
葵川は頭を掻いた。さて両方とも話が分かる奴だといいのだが。


後日、瑞穂が拿捕した潜水艦艦長との会談を持つも相手はそのまま黙秘、乗務員共々印度海軍基地にある複数の海軍捕虜収容所に収監される事になる。
「残念デスネ」
「仕方あるまい、あの者は地獄を見ているのだからな……」
葵川もナチス独逸第三帝国海軍の経緯を知っているだけに黙秘する敵潜艦長の美学を察し一応捕虜取り扱いに関しては開戦前の国際条約に基づいてする事を告げるのにとどまった、ただ通訳のハルトマンを見て艦長が独逸語で罵ったらしく、彼が激怒する一幕も見られた。
「残りはUー177ノホウデスガ……」
「どうかね?」
「修理には本格的なドックが必要です……バッテリーハシュウヘンキキヲフクメテすべて取り替え、船体各所の修繕もヒツヨウです」
「そのU−177は旧型艦なのか?」
「先のタイセンシュウリョウゴに隠しておいたのを引っ張りだしたと思います」
「舐められたもんだな」
ただ航路の記録から太秦を攻撃した一隻である事は判明しており、よく八八艦隊の対潜攻撃機からの猛攻を凌げてここまで来れた事に驚いていた。
「艦長は有毒ガスにより死亡したと言う事だが」
「ハイ、遺書により現場海域にて水葬を実施……日本海軍士官もタチアイマシタ」
「そうか……その位置を記録しておいてくれ、戦後に本国の遺族が慰霊の為に必要になるからな」
「はい」
ウェルマンは指令室に案内された。
「U−177潜の副長、ウェルマン.フォン.シェリフマン少佐を案内しました」
「ご苦労」
ウェルマンは案内したのが女性士官と言うのに驚きを隠せない表情をしていた。
「どうも、本官は極光艦隊司令官の葵川です、こっちは通訳のハルトマン少佐です」
ウェルマンは直ぐに英語に切り替えた。
「U−177潜副長のウェルマン.フォン.シェリフマン少佐です、艦長の水葬を感謝してます」
「宗教上火葬は好ましくないと言う事で日進の船長が許可を出しました……」
「貴官は我が軍の捕虜になりましたが国際法に従って取り扱い怪我人も赤十字を通じて治療を行います」
「感謝します、小笠原での僚艦はどうなりましたか?」
「全て撃沈、若しくは浮上不可能による圧潰と思ってください」
「……そうですか、ハルトマン少佐の様な士官は大勢いるのですか?」
「そうだ、軍規により詳細は明かせないが……ヒトラーを選出した責任を感じている」
「シェリフマン少佐、気分を悪くしていると思うが彼らはヒトラーの暴走を自分達では止められないと感じて祖国から逃げた。家族を持つ者も少なくなく自分までも日本政府に厄介の身になる訳も行かない……クーデター直後で三国同盟破棄と言う微妙な時期でしたが日本軍としては旧態依然の思想を変えるべく彼らを受け入れたのです」
「先程の若い女性兵士は?」
「電算機オペレーターですが同時に士官候補生です……これからの時代は仕事も男女平等、まあ伝統競技や演劇にかんしては例外を認めてますが……軍隊内では女性士官も増やす方針です」
「余裕が無いのですか?」
「正直言えば人材の幅を広げたい……我が国が亜細亜各国の近代インフラを進めているのも戦後を見据えているからです」
「戦後を!」
「この大戦でヒトラー総統を倒してナチス独逸第三帝国を崩壊させるには難しいと考えてます。この大戦が終わって時点で現体制のままなら数年以内に戦争が起こると分析してます」

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