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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 48

「あ、日本軍は米国国民の心情を……」
「それを利用して対日講和を図る……日本国首相は陸軍中将上がりだが政治家としても有能だ」
星空の下で語る二人……その間にも作業が進み艦の被害状況が把握できた。まずバッテリーが何れも損害を受けていて何個かは使い物にならなくなる、魚雷の数は十分だが後部発射管は複数のセンサーに異常をきたし外蓋が開かずに変に扱うと発射管の中で暴発する恐れがあるので封印した。今機関士らが修理を試みているが状況的にキツイそうだ。
「バッテリーの温存の為にも無理は出来ませんね」
「やり過ごすが……」
「ゲシュタボに捕まりますよ」
「奴らは陸の事しか知らないからな……変に捕まえれば奴らがその代価を支払う事になる」
夜明け前に艦内に戻り、二人は海図を見る。大胆にも近くの岩礁帯に身をひそめる事にしたのだ。
無論リスクがあるが推定される航路に艦載機の行動範囲、日本友好国の軍事レベルを考えると例の極光艦隊のマラッカ海峡通過後にこの潜水艦も夜間に通過するしかない……。



マラッカ海峡にて極光艦隊に周辺国海軍が警戒する中、プリンスオフウェールスとアークロイヤルは通過した。それを双眼鏡でのぞいていた葵川は船長にこう告げた。
「例の潜水艦は近くの岩礁帯に潜んでいる事は間違いないです」
「手負いの狼と言えとも油断は出来ないな……なんとか拿捕出来ないか?」
「司令、何か考えてますね」
「うむ……拿捕した潜水艦で欺瞞情報を流す」
「……少し面倒ですが偽装潜水母艦のあぶり出しもしないといけませんからね、海坊主の準備をさせます」
「さてと……話が分かる船長だといいがね」
葵川の奇策は現実味が無いが今後の戦局を思えばやってみる価値はある。
「あんびりばぼー、ショウキデスカ?」
プリンスオフウェールスの艦長室にて同席したアークロイヤルの艦長ですらこれである……が葵川は英語で言う。
「恐らくナチスドイツ第三帝国海軍はこの手の作戦は手探り状態と思える……無論偽装潜水母艦は工作員の母船としての活用する事は目に見えているからこそ今のうちにどうにかしたい」
「しかし潜水艦の制圧しても艦長が従うとは思いませんが……」
「そこを突かれると痛い……だが同じ海軍士官なら話してみる価値もある」
「葵川司令官の提言はしてみる価値があります、ナチスドイツ第三帝国海軍は何かとヒトラーから冷遇されていたので、三軍の中では反ヒトラー派が多くいます。差し詰め潜水艦乗りはその傾向が高いと」
葵川に同席したハルトマン少佐は亡命した元ドイツ海軍士官で今回の作戦には名目上はドイツ語の通訳として参加しているがドイツ海軍の内情に詳しい。
「それは聞いた事はあるが」
「潜水艦乗りにとって海上戦艦は脅威です、潜水艦が有利になるのは少ないですから」
「逆ではないのかね?」
「……爆雷攻撃により多少なりとも浸水する、ショートによる感電に発火、排水ポンプや弁が稼働できなくなった時の沈みゆく恐怖は部外者にとって耐えがたい事です」
「確かに潜水艦事故対策は急務と言えますな
「我が国では現在潜水救助艇とその母艦の開発を進めてます、特殊潜を応用し一度に複数の乗務員を救助し海上母艦へと運ぶ方式です」
潜水艦の難しさは乗務員の育成……特に訓練艦での航海では常に支援母船が随伴するが戦時下に入り、隠す為に民間船に偽装する事もある。今まで最悪な事故も数度経験している日本海軍にとって潜水救助艇を実用化する事は乗務員の救助を可能にする事であった。
「ほう……」
「小型潜水艇の発展は海洋開発に転用できますからね……潜水救助艇も使い方次第では工作員を敵地に送り込める」
「独逸にもそのようなモノが」
「海軍は構想していたのですがね……グラーフツェッペリンの建造中止撤回でそれどころではなくなったと、私が知っているのはそこまでですよ」
「今のナチス独逸第三帝国海軍ならその計画も進められているとでも?」
「既に実用化しているかもしれない」
葵川の言葉に全員が考え込む。
「とりあえず、今はUボート拿捕を目的としつつもボンペイへと向かいます」

さて阿弗利加(アフリカ)は英国を初めとして欧州の列強が植民地化している、地理/政治的要因から亜米利加と日本はこの地に植民地は持ってない。南阿弗利加連邦は英国から独立、印度の無血独立へと導いたスワディー.ガンディー師匠が提唱したアヒンサー(=非暴力主義)が浸透、本国の事情も考慮して白人支配層は黒人への社会的整備に乗り出している。北阿弗利加は既に独逸の支配下であり、間田羅洲化瑠島(=マダラスカル島)も支配下に置かれていた。

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