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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 46

ナチスドイツ第三帝国海軍にとって初の日本海軍との戦闘が開始されようとした……日本海軍のレベルは物量面で言えば亜米利加に劣るが戦艦や空母と言った性能に関しては亜米利加以上、懸念された対潜警戒網や潜水艦レベルも大したことはない……誰もがそう思っていた。だがU−177潜水艦副長ウェルマン大尉は何か腑に落ちなかった……敵制海圏とは言え新鋭戦艦がこんな場所に単独で展開するのか?
「全魚雷発射管注水!」
ウェルマンも復唱しU−177の攻撃体制が整う……潜望鏡を出して狙いをつける。
「一番、二番発射!」
魚雷が発射されると同時に反転と急速潜航をする。


「敵潜水艦から魚雷!航跡四!」
「半水航行モード、各室衝撃吸収材注入!」
「応急修理班は各自持ち場へ!耐衝撃注意!」
飛鳥と瓜二つな戦艦は船体を喫水線よりも更に下げた……そして魚雷四本をバルジで受け止めた。
「命中!」
「半水航行モード解除!急速排水!応急修理班は直ぐに穴を塞げ!!」
木造故に貫通するのを防ぐために高分子化学が産み出した衝撃吸収材はナチス独逸第三帝国軍の魚雷四本を爆発させる事も無く確保する事に成功した。
「偽装炎及び煙幕装置作動、偽装通信開始!」
「艦長、初陣が飛鳥よりも先になるとは思ってましたが……こんな所にUボートが居るとは」
「暗号通信、八八艦隊に伝えてやれ……狼が紛れ込んだとな」
「本物でないのが辛いですな……」
「仕方あるまい、この特務戦艦太秦(うずまさ)は飛鳥のフルスケールモデルなんだからな、主砲と副砲は張りぼてだが防空火器は本物だ」
そう、これは飛鳥建造の際に木材で作りだされたフルスケールモデルに手を加えた特務戦艦太秦である……艦橋袂には51センチ主砲弾が直撃しても耐えうる装甲発令所があり戦闘の際にはここから操艦する。
この船の主要任務は“飛鳥”を演じる事だ。
「艦長、再び反応……先程の二隻です」
「八八艦隊は?」
「旗艦大和を初めとして急行中、空母からは対潜攻撃機が発艦してます……上空に機影、味方機の幻龍改です」
「流石にこの辺りの海には詳しいな……」
「通信です“オオカミザメタイジノキョカヲコウ”」
「返信“タイリョウヲキガンスル”」
前例がない巨大木造戦艦だ……あんまり雷撃されると分解される恐れもある。
「偽装右舷雷撃損傷航行へ……」
宛ら先程雷撃を受けて右舷が傾いている様に見せかける様に潜航する。

「機長」
「平文で発信、飛鳥は現在雷撃を受けて航行困難とも」
無論幻龍改の乗務員がアレが飛鳥ではない事は知っている。何しろ模擬誘導弾攻撃で狙った船だからだ。
「新たな反応!数六、いえもっと増えます!」
「ちっ、二機だけじゃ手に負えんぞ」
幻龍改は対潜警戒/攻撃水上機だがどちらかと言うと警戒機に近い……まさかこれだけの数を送り込んでいるとは思いもしなかった。
「八八艦隊所属の対潜攻撃隊からです、太秦付近の二隻を任すと」
「了解!」
磁気探査により二隻のUボートの位置を特定した幻龍改は装備していた魚雷を投下した。


Uー177艦内にて副長は新鋭戦艦が傾いている事に首をかしげた。たかが四本の魚雷でここまでダメージを与えられるのか?潜望鏡を上げた船長は真っ青になり潜望鏡を下ろすと同時に叫ぶ。
「急速潜航!!!!!」
「敵対潜攻撃機から魚雷投下、数四!」
手が開いている潜水艦乗務員が狭い艦内を艦首へと走り込む、少しでも早く潜航させる為の工夫だ。
「デコイ射出!」
近くに居るU−173は気がつくのか遅れたのか敵航空魚雷が後部に直撃した。
「うぉお!」
聴音手が溜まらずヘットフォンを外した。
「後部居住区浸水!」
「魚雷室浸水!」
「バブルを閉めろ!排水ポンプを全部回せ!!」
潜水艦乗務員はエリートと言われる所以は水上艦とは異なる極限の状況でも応急修理をする頭脳と技術、タフネスさを持つ……これはUボート乗務員だけの話ではない、どの国の潜水艦乗務員も言える。素質が欠けていれば海の底に沈むか水圧で潰されるのだ。
「U−173は!」
「反応ありません……恐らく」
聴音手の言葉に発令所に居た全員はU−173は海の藻屑になったのだ。
「はめられましたな……」
「副長……情報部が間違っていると思うのか?」
「可能性はあります……」

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