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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 41

「仏蘭西を解放した者が共産主義や社会主義を信望する者ならエライ事になりますね」
「亜米利加もそこら辺は危惧しているがね……最もその前にやる事が多過ぎるのが実情かな」
坂本海軍大将は粗茶を飲む。
その時警報が鳴り響く。
「何事だ!」
伝令の少女士官が叫ぶ。
「佐渡島電探基地より入電、独逸軍爆撃機編隊、数三十!!!」
「お早いですな、大将」
「各防空隊は全力を持って阻止、ただし体当たり攻撃は禁じる」
「は、はい!復唱します“各防空隊は全力を持って阻止、ただし体当たり攻撃を禁じる”以上」
李家が頷くと少女は一礼し駆け出す。
「通信機を借ります」
上村は坂本海軍大将の卓上にあった電話機を手に取り、交換手に西処女亜(=ウェストバージニア)への回線を繋いでもらった。
「室蘭、およびその周辺には確認されてませんが対潜警戒を発してます」
「独逸の狙いはここか」
「東京ですか……例の核分裂爆弾でも投下する気でしょうか?」
「あり得る話だ、あのヒトラーならそれ位はする……ただしあの爆弾に関してはコントールが難しい、だから数回は実験する事になる。今回の空襲はその予行だ」
李家は成程と言う表情を見せた、中東の支配下は単に石油資源が目的ではない訳だ。
「独逸がその爆弾を既に完成させていると」
「わからんが……先の富嶽空襲で分かった事は独逸の原子爆弾研究は分散している。そして何故市街地にそんなもんを作ったのか、それは人体実験だよ」
「!」
「放射能線の怖さは前世記憶を持っている橘次官がよく知っている……」
「もしかして」
「そうだ、あの空襲で更に市民や展開した敵飛行士は癌発生の確立が高くなる」
坂本海軍大将はゾッとしていた……最悪の事態も想定しなければならない。


独逸第三帝国空軍は長距離爆撃機ヨルムンガント三十機を差し向けた、元は対米国爆撃の為に開発された機体であり六発の二重反転プロペラに補助ジェットエンジンを装備している。多くの乗務員は楽観的だが爆撃隊指揮をするポルコは言い知れない不安に感じていた。何故米国はあれだけの爆撃機を要するのに空襲をしてないのか……先のニュウヘンブルクを空襲した双胴体飛行艇を考えると日本の航空機は独逸並と思った方が良い、この機体を開発した主任が耳打ちした言葉が気になっていた。
「隊長、トウキョウまで一直線ですね!」
「油断はするな……ヤンキーも爆撃して全機未帰還だ」
「ばかな、我々は高度一万……」
電探が反応し警報が鳴り響く。
「上空に敵機!数10!いえもっと増えます!」
ポルコは舌打ちをする、日本空軍は我が独逸第三帝国並の防空網を構築していた……先の米五大湖工業爆撃とは異なりこのヨルムンガンドが飛行できる高度まで到達できる迎撃機にレーダーサイドも実戦配備していた。
「撃ち落とせ、編隊を崩すな!」
「四番機被弾!落ちます!」
パラシュート降下出来る高度まで機体が持つ事も無くバラける姿を見て何機かが進路を変えた。
「隊長!」
「ゲシュタボが口を封じるよりも戦死した方がいいかもな」
迎撃機は先尾式と呼ばれる機体形式で空軍研究部が似た様な機体を開発している事は知ってはいたが……驚いた事にジェットエンジンを搭載している。ジェットの怖さはよく知っている……。
「副長、攻撃目標まで補助ジェットで加速したまま爆撃してロシアの勢力圏まで戻れるか?」
「総帥命令では日本の皇(=天皇の事)の城を狙えだ!」
一番機にはSS(=親衛隊)から派遣された将校も乗っていた。
「少佐殿、日本海軍機の出来は予想以上です」
「機長、無理です」
燃料計算を終えた副長は言う。
「この状態が続くのなら更にあの様な戦闘機の他にも新手が来る事もあります」
その間にも次々と敵迎撃戦闘機の機銃により多くの機体が火祭りにされた。
「機長、そのまま行け!」
「無理なようですね……」
ヨルムンガントを取り囲むようにして三機の双胴飛行艇が上昇してきた。しかも機銃はこの機体に向けられている。
「国際モールス信号、読み上げます“降伏の意思があるのなら車輪を下せ。捕虜取り扱いは国際条約に基づいてする”」
「親衛隊さん、前線とはこんなもんですよ」
ポルコは銃口を親衛隊に属する将校に向けて肩を打ち抜いた。
「副長ギアダウン」
他の機体は既に落ちていた。


ヨルムンガントは富嶽に誘導され羽田基地に着陸、連絡を受けた陸軍は亡命独逸人将校と共に機体へと乗り込む。
「貴様……」
「ゲシュタボに殺される位なら亡命すれば?」
「なに?」
「じゃあするわ、俺はイタリアからの移住者だが良いのか?」
「歓迎するよ」

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