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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 38

「高麗国では日帝呪いの杭だとして引き抜いてバカもいますが……」
「公務執行妨害に国土標準損傷罪のおまけ付きの国家反逆防止法で投獄になっているさ」
司令官はヤレヤレと思う。



宮藤は落ち着く間もなく、民間人に変装して日本本土に戻っていた。
「ふむ、第0連合艦隊司令官からの速報で知って検討したが不問だ」
「!」
「独逸も撮影しているだろう……B−34を攻撃しなかった宮藤少佐の判断は正しい、寧ろ近く日米停戦会議の際に不利な状況にならないで済むからな」
坂本海軍大将直々のお白州も覚悟していた宮藤にとっては拍子抜けとなっている表情だ。
「これは作戦に従事した乗務員に伝えているが攻撃目標は完全に破壊、なお核分裂反応が起きなかったと言う事だ」
「そうでありますか」
「ロモアラモスの様な状況になればヒトラーが調子に乗る所だ、現在もこの手の研究所把握に英国情報部は動いている」
「つまり今回の様な作戦が在ると言う事ですか?」
「それもあるが……川崎L9W1 鳳凰による英国人科学者とその家族を日本への疎開させる計画もある。今回の飛行はそれの実証も含まれている」
鳳凰とは二式大艇とは違い墳進発動機の輸送機であり、富嶽の実用化で一石ワルター墳進発動機が目処が出来ていた。一石とはアインシュタインの日本語読みであり博士は同時に後世日本航空史には欠かせない一人になりつつあるのだ。
「富嶽にも護衛機として随伴させる為に順次一石ワルター墳進発動機に換装する……泊の一号機は既に換装済みだ」
「墳進発動機の艦載機も出るのですね?」
「三菱J8M/キー200改 春水は今後飛行爆弾として再設計するが高高度迎撃機が優先的になるだろう」
「プロペラ機は未だに健在と」
「そうですな、レシプロ機の技術も廃れないと思いますよ、民間市場を見据えれば」
李家がそう言いつつも来客用にお茶を出した。
「彼が煎れた珈琲濃液(=コーヒーエキス)はどうだったかな?」
「あ、役に立ちました!」
「ありがとうございます、前代未聞の夜間飛行すると聞いて取り急いだかいがありました」
「部下がここのサテンに出せると言ってましたよ」
「ありがとうございます、また作戦がある時も用意しますよ」
「是非」
この珈琲濃液は戦後海軍本部内にあるサテンに出され、日本軍名物として定着。夜間任務の際に愛用され、一般家庭でも広がり受験勉強の夜食レシピ定番になる。


照和十八年 九月 第二次日英同盟が正式に調印された。これに伴い日本政府英国の在外凍結資産を返却し英国政府は亜細亜各国にある新興国家に旧植民地であった印度等の独立を承認、これにより英国は亜細亜での経済活動を再会できたのである。軍事面ではプリンスオフウェールスの改修(後に第一次改修と称される)が終了、同時にアークロイヤル級装甲空母が進水した……本国ではとても建造できない状況であったからだ。
更に英国は自国戦闘機を日本の航空機製造会社に委託、アークロイヤル級装甲空母の艦載機はスピットファイヤの艦載機バージョンであるスーパーマリンシーファイヤ(後にJ型と呼ばれる)に英国軍初の電子作戦機メタルモスキート.エレクトが製造された。木造機であるデ.ハビラント.モスキートを胴体金属化した上に艦載機にすると言う無茶ぶりを可能にしたのはやはり亡命独逸人技師やユダヤ人技師の協力で実現したのである。木零同様驚異の合板と接着剤技術によりこの機体は日本軍や亜細亜各軍でも使用され、名称には必ず蚊を意味する言葉が使用された。日本では藪蚊と呼ばれ、南洋での支援に使用された。

この一連の動きに亜米利加はカンカンになるも元首相チャールスは第二次世界大戦回顧録の執筆をたてにトルーマンの電話会談を拒否された。大口叩いて英国救援がままならない状況を考えるとチャールスの行動は紳士である。独逸の宣戦布告は時間の問題であった。
「あれがアークロイヤル級装甲空母ですか」
西処女亜(=ウェストバージニア)にて新任の副長が双眼鏡で見ていた。室蘭沖にて英国や旧植民地で足止めされた海軍士官らは日本海軍の協力でこの地に集められ訓練を実施、西少女亜はその訓練支援の為に展開していた。
「飛鳥型戦艦船体を流用した信州型装甲空母とは姉妹になる訳だ……亜米利加での建造も検討されてはいたがよい返事がなかったらしい」
「はぁ、それにしても宜しいのでしょうか?我々が英国海軍に船を建造して」
「空母に関してはドングリの背比べだ、基本さえ抑えていれば大丈夫だよ。現に金剛型の二番艦以降は日本で建造しているぞ」
「英国への帰国の際には英国救援艦隊と共に行動するからな」
その時伝令兵である少女が敬礼しメモを渡す。
「独逸第三帝国が日本に宣戦布告か」
「あちらも気がついたそうですね」
「さて、空襲が来るかもしれんな」
「海軍高高度迎撃航空隊は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だ、それと東京で親父から面白い話を聞いたよ」

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