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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 36

これは宮藤が戦後に知る事になるが核爆発に遭遇したロモアラモス研究所付近は燦々たる状態で調査団はその惨状に息をのんだ。大都市でこれが起これば悲惨な事になるだろう……極限られた生存者も放射能障害に苦しみ治療のかいも無く死んでいく。皮肉にもこの調査により延命治療だけでも膨大な医薬品と看護士の数が目安として弾きだされ主要都市で使われた時には放棄もやむを得ないと判断するしかない。更にこの調査は当時の亜米利加空軍の増強、墳進弾の研究拡大を進める事になりアメリカロケット研究会を立ちあげる事になり、後に複数の組織と合併しNASAになる。


富嶽各機の六発の発動機に二重反転プロペラが動き、巨人機を離水させた。
飛行距離一万キロ超、夜通しで飛ぶ事は危険が伴うが乗員が交代で仮眠を取っていた。眠気覚ましには橘次官が坂本海軍大将からの差し入れで珈琲濃液(コーヒーエキス)がたっぷり入った魔法瓶が全員分に配られたのである。飛行して数時間後、宮藤が初めて眠気覚ましに飲むとその苦味で眠気所か舌すら跳びそうになる。
「た、確かに利くな」
「……これ海軍本部のサテンに出してほしいですな」
下は雲海、月が照らす夜……先発隊の大津隊、その数分後には土浦隊が飛行する。飛行し続け、独逸時間で午前零時、目標地点まで後三千四百キロ地点に達すると総員起こした。敵防空圏に到達し各員配置に付く、飛行爆弾を操縦する航空士二名も例外ではない、飛行爆弾を発進できるようにセットする。
「まもなくチェコ国境」
「各機爆撃地点まで高度一万五千まで上昇、各銃座英国爆撃のシルエットをよく見ておけ!」
これから起こる予想外の出来事でも宮藤ですら想定しなかった事態が起ころうとしていた。
英国空軍は損害覚悟で出湯仙土瑠府(デュセンドルフ)への爆撃を仕掛けるも、ロケット戦闘機Me163 メッサーシュミットを初めとする戦闘機の的になっていた。独逸空軍も懲りないと思いつつも迎撃するもこの日は何時もと違い友軍レーダーサイドは高度に機影を感知、直ぐに上昇すると米軍のB−34 デビルフォートレス三機が飛来、しかもジェットエンジンにロケットブースターを装備した機体でありメッサーシュミットは直ぐに攻撃を仕掛けようとしたが燃料が尽き、無念の滑空飛行に入るしかなかった。
「ミュンヘンブルクに敵爆撃機、特級警報!!!!」
レーダーサイドの知らせに独逸空軍はランカスターかデビルフォートレスとも思っていたが初めて見る機影に画かれた紋章に驚いた。
「に、日本機!!!」
ドイツ海軍もそれなりに飛行艇には自信を見せているが富嶽を見たドイツ空軍のパイロットは唖然とした、双胴体型飛行艇……しかも爆撃機として運用している。パナマ運河を閉鎖に追い込んだ“怪鳥”の事は聞いてはいたがヤンキーが薬の打ち過ぎで幻覚を見たのではないかと言うのが酒場でのオチだ
「本部、ジェット機を出せ!ロケット機でもいい!!」
既に爆弾庫扉が開いている……まさかこの高さから爆撃する気か!TA152 タンクに乗る飛行士達は必死に落とそうとするも銃座から出る機銃にハチの巣になる。
「た、隊長!B−34三機からも爆撃です」
「なに!ヤンキーと黄色いサルが手を組んでいるのかぁああ!」
通信装置から聞こえる部下の声は真実であった。

「べ、米軍機だと!」
宮藤も予想しなかったがどうやらあちらも想定外らしい、ここで撃ち合う訳にもいかない……米軍もニュウヘンブルクの核施設に狙いを定めていた。
「米軍機、爆弾を投下!」
「爆撃手問題無いな!」
「ヨーソロー!頼むぞY型誘導弾!」
米軍の誘導弾もY型誘導弾に似たフォルムである事は偶然である。
「投下完了!」
「飛行爆弾切り離し!」
ニュウヘンブルクに日本製のジェットエンジンが咆哮した。
米空軍の誘導弾三発は重水素工場を破壊、日本海軍のY型誘導弾全発と六機の墳進飛行爆弾はウラニウム製錬工場を完全に破壊した。ここでも放射能線被害が発生、しかも市民が普通に暮らす都市での発生は後世世界初であり数ヵ月後に住民や展開した航空士や兵士らに癌症例が多発すると当時の独逸第三帝国宣伝部は“日米は核兵器を使った”と宣伝し反感情的な対日/対米を煽ったのである。更に独逸空軍は日本海軍が持っていると言う未確認の双胴型飛行艇を初めて確認したが撃墜は出来なかった。高度二万メートルから更に上昇、ワルターロケット墳進を実用化していたのでハインケルの新型機でも振り切られたのである。悪い事に米軍のB−34もロケットブースターで逃げられた……空軍最高指揮官ゲーリングは真っ青になり、報復に東京空襲を提案するしかなかったと言う。

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