PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 30
 32
の最後へ

戦艦空母艦隊 32

砲弾と比較すると自動化が進み発射機も水上機のカタパルトを転用すれば済む……何よりも砲塔の様に重くならない、やはり半世紀後にはこれが当たり前になるかも知れない。噴煙を靡かせて進む六隻の戦艦から発射されたイ号墳進弾による空襲は後に史上初の艦上ミサイル攻撃として記録された。
「回収地点まで行くぞ!」
「機関最大出力!」
幻龍の帰艦を信じて遊撃艦隊は進んでいく。



 幻龍編隊はロモアラモスがあるグランドキャニオンを飛行する。二重反転プロペラを動かす大出力過給機付発動機が唸りをあげる幻龍に飛行爆弾の二基のエンジンがプロペラを回す。奇妙な航空機である事は亡命独逸人技師も認めるほどである。
「敵機です」
「やはりいたか」
当たり前だ、米国も馬鹿ではない……だが幻龍は旋回機銃を装備している、これは爆撃機だけではなく対潜哨戒機として運用を想定している。しかもこの飛行爆弾は幻龍と合体時に同じタイミングで舵を操作すると普通の飛行機では到底まねできない横滑りや千鳥足が出来る。応戦しつつも目標の研究所が視認すると全機飛行爆弾が幻龍から離れた。一機がハチの巣になるも一t爆弾が投下し爆発が起きた。
飛行爆弾は次々と命中すると無線誘導の為に旋回していた幻龍編隊は高度を上げる為に機外にある墳進装置を作動させた。
「た、隊長!!!!」
「目をやられるぞ!!」
幻龍編隊を束ねる大尉は昨年、橘次官から前世の廣島で起きた惨劇を聞いていた。信じられないが彼の言葉には説得力があり、今回の作戦が失敗すれば難しくなる。
「あ。あれが……原子の大爆発なんですか」
飛行爆弾を操作した飛行士は唖然とする。
「核反応だよ……あんなものが戦場で使われたら」
「ロ号弾頭よりもやっかいだぞ」
犠牲を考えると妥当だろう……。


幻龍編隊は無事に遊撃艦隊に属する空母三隻に其々帰艦すると直ぐに機体を高圧洗浄を受けるために甲板上に曝されていた。死の灰を警戒しているからだ。飛行士達にも念の為に日本本土に帰す事にしている。
「艦長、無事に帰ってこれました」
「うむ……」
核反応が早ければ彼らもただでは済まされなかっただろう。


ロモアラモス原子力研究所が壊滅した事はホワイトハウスにも伝わっていた。
「今後はメキシコにある研究所がメインになります」
「そうだろうな……ラジウムを発見したキュリー夫妻やその娘夫婦の死亡も放射能線が原因と言う事は立証された。ルーズベルトは急逝したのはラッキーだったな」
「は、はぁ……」
ルーズベルト大統領は報告を受けた後に倒れ、死亡が確認。戦時下とあって取り急ぎ副大統領であったビル.トルーマンが大統領に就任していた。しかし事態は深刻だ……放射能被曝により技師や科学者は研究や作業所ではなく、ロモアラモスの大爆発に何時マスコミが嗅ぎつけるかも時間の問題であった。
「とりあえず、あの場所には毒ガスやらの研究施設と改竄してますのでキノコ雲に関しては燃料タンクの爆発と言っておきましょう」
側近の言葉にトルーマンは言う。
「我が国は本当に戦争が出来るのかね?」
「そ、それは」
「英国のロイヤルファミリーに伝えておいてくれ……ナチスの動向次第では講和も考える」
「大統領」
「あのちょび髭伍長よりも日本の首相が話が分かると思うよ、文句があるのならご自由に、ただしこの国がハーゲンクロイツに犯される時には責任を取れるのならな」
トルーマンはもう一人の“側近”にそう言い放つ……シャドウメーカーと呼ばれる米国最大の闇から派遣された側近は無言で立ち去った。



橘次官は報告を受けて安堵している訳でもなかった……この事はナチス第三帝国にとってはまたとない機会であり、原爆開発に置いて独逸がリードする事になるからだ。無論日本としてはこの大戦中に核兵器の使用は敵地でも阻止したいのだ……第二次日英同盟を望む英国でも核兵器に関しては米国からある程度の情報が入っているだろう、ヒトラーが核を使用する事は十分あり得る。
「超一式大艇による精密爆撃ですか?」
「事実上の地球一周……君は米国ホワイトハウスか五大湖工業地帯と思っていたのか?」
「はい」
彼はある航空士官と話していた。
「日本海軍航空隊史上に残る前代未聞の大作戦となる事は間違いないでしょう」

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す