PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 28
 30
の最後へ

戦艦空母艦隊 30

それでも抗日派は日本を倒す為に亜米利加に依ろうとするが上手く言ってないらしい。何しろ地理的に亜米利加の潜水艦が日本の領海内を確実に通過できないからだ。
「この点は日本にも過失があると言えるが、欧米諸国に倒されない為にも日本は近代化をした。我が国の王朝は近代化を怠った……最もそれを理解できない民族だと言う事を認めない……」
李家は杯をグイッと飲んでそうつぶやく。
「李家さんにとって歯痒い訳ですな」
「かと言って表に出る事はしない……今更王朝を復活させようとしても既に血筋の皆は子供ができん歳じゃな、養子縁組でもしたらそれこそ明治の頃に逆戻り」
「では朝鮮半島をどうするのですかな?」
「時間をかけて近代化させるしかないでしょう、そのうち抗日派は消えます」
彼の言う通りしか出来なかった。
「企業に出来る事は民間からも支援する事です……それが列強時代に犯した我々の償いと分かってもらえると願ってます」
事実、日本企業は近代化の為に亜細亜各国に各重軽工業/建築業等の現地合弁会社を設立している。現地雇用に留まらず技術提供を実施、更に大学も教育支援を実施しており徐々に近代化の礎となっている。
「……我が祖国はそれを理解してくれるのは何時の日か」
李家はため息をついた。


明けて照和十八年一月、日本海軍主力は一斉に亜米利加沿岸軍要衝に攻撃……建造途中のパナマ運河要塞基地は緊張に包まれていた。日本軍の上陸作戦をするならこっちの思うつぼだが楽観できない理由があった。
「旧太平洋艦隊の戦艦が使用されていたか」
「はい……艦は船体が延長されてましてなによりもこれを見てください。これはカタパルトですが不自然です。普通なら一基で済むのですが両サイド二本あります」
「技師官、まさか」
「日本軍はV1ような兵器を……戦艦に搭載してます」
「バカな!」
強行偵察機からの写真撮影された旧太平洋艦隊主力艦六隻の写真を確認した技師官が言うには収容ハッチの大きさから察してV1よりも小型化されていると言う。
「オーストラリア派遣軍が撤退した際に確認された未確認機の母艦とも言う線もあります」
「あの奇妙な複葉機かね?」
「もしかすると下部は飛行誘導爆弾かもしれません」
「そんなもんをどうする?ホワイトハウスを狙うのか?」
「ロモアラモスです」
指揮官らが椅子から立ち上がり技師士官の胸倉を突かんだ!
「情報統制は完璧だ」
「ですが、我々は未だに未知の暗号を解読出来てません」
この事は米国の安全保障を揺るがす事態になりつつある……敵の暗号が解読できないと言うのは非常に危険だからだ。現に太平洋沿岸の各要衝に攻撃を受けている……レーダー網の整備は大西洋を優先にしていた事も原因だが敵の動きが掴めないのだ。原子爆弾の事も知っているかもしれない……日本国内でもウランが採掘しており、採掘量が微々たるモノだが研究には十分な量と言う事だ。更に解放された亜細亜各国には各種資源が豊富、ウランもある。悪い事に協力するドイツ人とユダヤ人の存在は原爆を製造できる事を意味していた。
「た、大変ですワシントンDCに日本軍機が侵入!」
「なに!」
「パナマ運河を機能停止に追い込んだ例の巨人機がビラを巻き、ホワイトハウスと国会議事堂に模擬弾を……」
「日本軍め!」
既に機体はロストしており今頃ワシントンDCは大騒ぎになっているだろう。ビラは戦前日米友好のあかしとして日本から送られたサクラ、アメリカから送られたハナミズキの枝が交差している……ハナミズキは一時期廃棄処分の危機になったが橘らの働きかけで回避している。間違いなく米国世論を揺さぶっているのだ。

「……元帥」
「私は降格しているのだよ」
その現場に居合わせたダグラス.マッカーサーは背広を着て部下に言う。
「今の役職は枢軸国からの移民収容キャンプの総責任者だ」

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す