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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 28

この被害の大きさに艦隊司令官は頭を抱えたが、ふと日本海軍も同様の事故を大戦前に起こしている事を思いだした……いっその事戦艦空母化出来ないか?本国の技術部将校も交えて検討した結果艦隊司令官の提案が受け入れられた。オーストラリア海軍のドックは駐留条件に提供する戦艦や空母が使用、ドックのクレーンもとても砲塔を釣り上げられない……これ以上戦力が逼迫する事は避けたい、とは言え一度はペーパープランで否定された“戦艦空母”をどう運用するべきなのか……当時ハワイが敵の手に陥落して動揺していた。そしてこの大惨事に関しては艦長は辞意を申し出たが艦隊司令官は後任が決まるまで現状維持にしている……と言うのもニュージャージが異例の戦艦になって上層部も頭を悩ましている訳だ。
最もニュージャージの一件よりも不意打ち東京空襲の失敗やらハワイを占拠にパナマ運河を破壊された方が深刻であり、急遽航空戦艦化したこの船の船長人事は軍規の解釈でオーストリア派遣軍に丸投げするかニュージャージに代わるアリゾナ級戦艦を転戦と言う選択肢に絞られた。そんな時に欧州戦線は英国がハーゲンクロイツに埋め尽くすのも時間の問題になり、オーストラリアの世論は祖国を救済する方へと傾いた。結果的にオーストラリアはハル.ノートを受託したのである……オセアニアの盟主としての選択である事はワシントンD.Cも理解するしかなかった。



ニュージャージは本国へと撤退する最中に日本軍艦載機の雷撃を何とか回避し傾き航行不能になった僚艦乗務員の救助へとしていた。
「艦載機の受け入れします」
この船の着艦は通常空母同様に制動索を使うが強度や伸縮性を三倍高めたモノを使用している。無論艦載機乗りに取ってこんな異様な所に着艦したくない筈だがそれは普通の艦載機乗り、普通ではない輩は着陸したがる訳で少なからず艦載機が存在する。
パイレーツ飛行隊と呼称される彼らは海軍きっての航空機乗りで腕前もよいが性格上の問題を抱えていた……元はジョージワシントンを母艦にしていたがニュージャージの航空戦力を持たせる為に無理やり異動されたのである。その代わりに二重反転プロペラの試作機“ボーイングXF8B ビックバード”を与えられたと言うよりは押しつけられたのである。かなり大型の艦上機だが攻撃機や雷撃機としては今一つ及ばない性能であったが長距離を飛べる事から偵察攻撃隊として運用されている。
「ガッテム!艦隊の防空隊は何をしていたんだ!!!」
隊長のショーンは着艦した機体から降りるなり叫ぶ……だから防空隊の指揮を自分に任せておけば、アナポリスの甘ちゃんに任せた結果にジョージ.ワシントンの指揮官様は青褪めているだろう。全く遠距離から雷撃させるならこの部隊だけでも至近距離の雷撃をさせるべきだったと思う。
「機体を収容するのか?」
「は、はい……再出撃はしません」
「だろうな」 
甲板員もよくこんな狭い場所で機体を手際よく収容するようになったもんだ。最初の頃は大変で一機が海中に落としてしまい整備員らがボーイング社から派遣された技師と共に引き揚げられた機体を修理して一週間後には飛ばした事を思うと上出来だ。彼らも他の空母からの配置転換されている……一小隊四機のみになっているのは余裕が無いからだ。
「ジャップの連中はよくこんな戦艦を揃える気になったな」
「……本国で空母にしちゃうって言う噂でっせ」
黒人であるボフはケラケラと笑う、ショーンとは航空士養成所からの付き合いで何かと気が合う。
「そりゃあ良い話だな……無事に本国まで帰れたらな」
二人は残りの機体を見て思う、壊滅もありえるからだ。

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