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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 25

「……了解いたしました」
キーガンは傍にいた伝令にメモを渡した。この艦隊は当初の予定通りジョージワシントンとの合流を急ぐ事になる……最もジョージワシントンを旗艦にするオーストラリア派遣艦隊の将校はバリバリの抗日派だ。この事が仮に分かっても日本海軍との一戦を構えるだろう、無線封鎖をしているのだ。
「指揮官殿」
「大統領閣下直々の命令なら仕方あるまい、ワシントンDCのゴタゴタがトウキョウに知られてない事を祈るしかできないな」
キーガンの気がかりは拿捕された旧太平洋艦隊の戦艦の事だ。ワシントンDCの専門家らの分析じゃ航空戦艦か空母化されていると言う事だが……海軍将校としての言い知れない不安に包まれていた。日本軍は外から持ち込まれたモノを自らの手で作り出し改良するのが得意だ。マスケット銃(日本では火縄銃)を例にとってもポルトガル人が数丁を漂着した地元サムライの有力者に渡し、翌年尋ねてみたらほぼ出来ていたと言う。砲身の底に嵌めるネジを除いては……更に列強化になるのも早く侮れない相手だ。
「我が国に足りないのは敗戦と言う名の試練かもしれないな」
「!!!」
「戦争に勝っても政治的には負けては……意味が無いのだよ」
キーガンはため息をつきつつも海原を見た。



第一連合艦隊に合流した西処女亜(ウェストバージニア)を旗艦にする遊撃艦隊も既にこの異変を知っていたのである。そこでアメリカオーストラリア派遣陸軍とその護衛艦隊は様子見にする事にしてジョージ.ワシントンを旗艦にする航空艦隊との一戦は避けられない様子であった。
「幻龍は偵察も可能だな」
「はい、新型発動機によりB−17以上の高度も飛べます」
上山はそう告げると指揮官が頷いた。
第一連合艦隊に属する日本海軍士官は眼利蘭土(メリーランド)と西処女亜(ウェストバージニア)を初めて見た下士官が多く、旗艦武蔵の下士官さえ敵艦と勘違いしたほどだ。何よりも砲塔が後部に二つしかないのである。艦前方にある大きな格納庫が開き始め、日本海軍機である深い緑色に包まれた機体が押し出された。
「幻龍一番機射出!」
陸軍の一式攻撃機と少しサイズが小さい機体が飛び立つ。
「あ、あれが幻龍……」
「うむ……その為に制動索を各空母に設置したからな」
この幻龍の最大欠点が母艦に着艦出来ない、ここら辺は随行する空母が受け持つ事になるが最悪機体を放棄する事になる。飛行爆弾を水上機の様にフロートをつければ母艦が回収する事も出来るので偵察型の飛行爆弾は予備燃料や追加発動機として利用できる。
「しかし複葉機とは驚きました……」
幻龍は機体下に半分埋没する形で飛行爆弾と呼ばれる双発機を合体している類を見ない珍機である。
「飛行爆弾は幻龍機内の専用操縦席で無線誘導する」
「なるほど航空士が三人必要なんですね」
「うむ……」
第一連合艦隊の航空機母艦隊の旗艦を務める大鳳型二番艦蒼鳳(そうほう)の艦橋にて船長と航空参謀長は会話をする。大鳳は建造段階で初の装甲空母となり、飛行甲板の装甲化によりトップヘビーを避けるために飛行甲板を低くした為に艦首をエンクローズバウ化しているのが特徴だ……これまで建造した空母も何れも同様の改修を受けており千歳型は斜め飛行甲板化した事により島型艦橋を設置している。

千歳型は建造当初は水上機母艦であるが何れは空母化を前提に建造された……だがフラッシュデッキ構造と呼ばれる飛行甲板下に艦橋があるこのタイプの空母は通常空母と比べても操艦に対空戦闘にはやや遅れる事が指摘、島型艦橋化(=アイランドブリッチ)へとすると飛行甲板が狭くなり、その上に艦上機の運用にも支障が出る。そこで着艦時には斜め飛行甲板を使う事にしたのである。商船や客船からの改修空母の多くがこの様な危険性をはらんでいたが斜め飛行甲板採用により幾分の改善された。墳進機運用を視野に入れて取り入れた斜め飛行甲板は航空戦艦と言うトンデモない戦艦を主力した日本海軍だからこそその利便性を見抜くのは早かったと言える。


幻龍は旧太平洋艦隊の戦艦に二機ずつ登載されており四機がアメリカオーストラリア派遣軍の旗艦になるジョージ.ワシントンを探す事になる。

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