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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 24

「航空隊隊長、先の渡り鳥作戦の際には見事な活躍で逢ったな」
「はい」
発令所には航空隊隊長が常にいるのは状況の把握のためである。敵航空機隊の動きを読むには同じ立場である航空隊の士官の視点に思考が不可欠である。
「護衛空母からも頻繁に艦載機を飛ばしている辺り雷撃を警戒をしているでしょう」
「独逸のUボートがここまで来るとは思わないが……あり得ない話も無い、独逸海軍は三軍では立場が今一つ……これはランドパワー国家に加えてヒトラーが陸軍出身であるが上だ。海軍としてはUボートの有効性を示す事が第三帝国内での至上命題だ。石油確保のために中東に手を伸ばしている……反回教派は他の国と比べて祖国が劣っている事は知っている。それは回教の教えがそうさせている……ヒトラーはそこにつけ込む、海軍はスズエ運河を含む紅海の制海圏を取る必要もある」
「Uボートだけじゃ無いと」
「空母運用に関しては米海軍よりも劣っていると言う訳だが……」
「ソコクはマイスター(職人)のクニです、事実センシャはアット言う間に独逸がモノにし製造から運用ガスグレテマス」
亡命独逸人バッハ.オージュント大尉は第0連合艦隊に参加している日本海軍士官である。祖国ではUボート開発中枢に居て同盟時代に日本に訪問した経歴を持ち友人がユダヤ人であった故に祖国を脱した。
「アメリカ戦車部隊もマッタクアイテデキマセン」
この事は事実で米国大統領ルーズベルトは執務室にて“我が息子達(=兵士)は戦争が出来るのかね”と困惑しつつも作り笑顔で語り、参謀部の陸軍将校らは絶句した事がルーズベルト婦人の回顧録で明らかになるのは戦後の事である。この問題を解決したのは陸軍内でオヤジと下士官らから親しまれたパットン将軍である、舌過事件は数知れずで確認されただけでも米軍歴代一位(歴代)と言う破天荒だが米軍戦車のコンセプトを定めた英雄である。マッカーサーは静かなる将ならパットンは激動たる将だ。
これに対して日本帝国陸軍の戦車戦術に関しての研究は当初は個人研究レベルであった。ドイツ戦車で例えるなら軽戦車で主力で済むからだ……日独伊による同盟やソ連との不可侵条約、更に日本が併合していた朝鮮半島にも反日運動があったが騎馬隊で鎮圧出来る事が原因である。しかし独逸、伊太利との同盟の破棄にソ連の現状を見ると軽戦車では独逸戦車部隊には勝てない、それは亡命した独逸軍将校らの情報で明らかになり、日本陸軍は自動車メーカーも巻き込んでの戦車開発を進めている。
「濠太剌利軍にM4があればイイノデスガ」
「そこら辺は英国との同盟締結してからだな」
「艦長、敵船団が進路を変えました……」
「何!」
バッハが海図を出し器具で進路を書きこんでいく。
「この方角デスト印度にムカウ」
「撤退ではないのか?」
「艦長、本部から暗号通信受信!」
艦長はその文面を見て驚いた。オーストラリア派遣軍の一部が英国亡命政府軍の戦力として供与される事を米国政府が日本政府に非公式に通知、この部隊は日本及び亜細亜各国との敵対する意思はない事を米国大統領が保障すると言う……。


これには新太平洋艦隊総指揮官であるキーガンさえも唖然とさせ、コーンパイプは吸い口を砕かれ床にたたきつけられていた。
「“ジョージ.ワシントンが印度に向かう航路をとれば現場判断でこの艦隊を母港に引き返す……後任でも決めておけ”……この文面を伝令缶に入れてホワイトハウスの主の部屋にも投げ込んでおけ!!!」
流石にこれは実行されなかったがその怒り用はアイランド内をアラスカの厳冬並に下げるのに十分な威力と言える。だがワシントンは彼の怒りよりも陸軍と海軍の対立が参謀本部内まで露骨になっている事が深刻に思えた。陸軍は亜細亜に置ける対ドイツ戦を想定して日本との早期講和を求め始めていたが海軍はハワイを占拠され、見下していた日本にやられっぱなしの状況にネイビースピリットが講和を拒絶している状況であった。陸軍参謀本部は海軍を出し抜く形を取った事に対立が激化している。

「指揮官殿、落ち着いてください」
「海軍の首脳はワシントンで政治をしている位ならこの空母艦隊での指揮を取れ、クソッタレ!!!!」
キーガンは普段こそ冷静だが些細な理不尽な事はキレる男でもある、故にワシントンから遠ざけられダッチハーバーに左遷された。仮にハワイの太平洋艦隊が健在であれば彼は退役し故郷フロリダにて戦況を聞く御身分になっていただろう……だが米海軍創設以来の危機にワシントンは太平洋艦隊再建にこの様な男に託すしかないのだ。
「か、艦長……あの通信が」
「国防長官か?」
「大統領閣下です」
キーガンは座っていた椅子から滑り落ちそうになった。反主流派であるこの自分に通信とは……知っている範囲では異例だ。

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