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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 3

技術主任は橘がまるで予言士の様に見えた……。

照和十六年の師走……交渉は難航した末に米国はついに交渉打ち切りを宣言した。

「予想通りですね」

「大使に連絡したかね?」

「はい」

橘はため息をつく。
こうなる事を予想していたのか米国や欧州に居た民間人は全て亜細亜各地や本土に戻っていた。亜細亜の情勢は前世とは全く異なる……日本は植民地化されていた亜細亜各国を独立国として承認し、それに必要な支援を惜しみなく施した。これにより前世の様な”敗戦”のリスクを回避できる可能性がある。そしてもう一つの方策としてユダヤ人亡命者の大量受け入れである……欧州にはすでに鉄十字の旗に覆われつつあり、第三帝国はユダヤ人の根絶を目指していた。多くの市民がナチスの恐怖から逃れるために欧州を脱出していた。
無論第三帝国も直ぐには日本を叩かないと踏んでの判断だ。この事は後に英国亡命政府に好印象を齎す事になる……。

 その日、日本を目指してB−17爆撃機編隊が飛んでいた。

「ジョージ、もう直ぐイエローモンキーに泡吹かせられるぜ!」

隊長機の機長は楽観していた。真昼の爆撃なんて司令部は余程の自身の現れだろう。副長のジョージは一抹の不安を抱いていた。日本の航空技術はユダヤ人が関与している……もしそうなら日本はドイツと同じ航空機を持っている可能性もある。その不安は的中した。
B−17爆撃機の編隊はすでに日本軍の電子作戦機”電鷹”により察知されていたのである。

「舐められたものだな……」

橘は海軍司令部にて言う。

「アレを出してやれ……征電には悪いがね」

「十六式局地高高度戦闘機 超零ですね」

部下の一人が受話器を取り会話する。その瞬間からBー17爆撃機の運命はきまった。
九十九里浜近くにある海軍航空隊基地にて逆エンテ型と呼ばれる奇妙な飛行機が格納庫から出された。これは普通のプロペラ機を逆にした感じだが、世界に類を見ない局地高度迎撃戦闘機なのだ。二重反転八枚プロペラを回すエンジンには排気タービン過給機を装備しており、通常の戦闘機で高度一万メートルに達するには数十分から一時間はかかるがこの超零は十五分で駆け抜け、全天候型レーダーを搭載している。航続距離こそ短いが高高度対応迎撃戦闘機に航続距離は求められてない。機体は次々と離陸していき一路B−17編隊へと向かった。

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