PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 0
 2
の最後へ

戦艦空母艦隊 2

そのとき会議室に武装した兵士らが乱入してくる。
「反乱を起したのか?」
「時間が無いのです……二.二十六事件のような物とは異なり今回は挙国一致の為の行動……」
首相は言う。
「お国の為に私は軍の仕事に専念する、何をするのかね?」
「まずは兵役に付かせている熟練工、技術者の研究員を除隊させ、内地への帰国を速やかに実行して頂くと助かります…近代戦は総力戦であり、産業を支えるのは彼らです」
彼は頷く、確かに一理ある。
陸軍大将でもある総理は命令書を書くと歩兵らに連行された。

 この時東京は陸軍の高崎 寅之助中将を中心とする陸軍部隊と橘 慶介次官を総長に据える研究会が設立させた海軍陸戦部隊によって日本の中枢を制圧された。何よりも彼らは包み隠す事も無く国民に全てを話し、マスコミ取材も行き過ぎた検閲をしない事を宣言した。ハル。ノート(日米交渉における米国側の最後通牒)を米国が単に自らの利益の為に戦争したがっているとコメントしたことも話題になった。
高崎は更に新政府樹立の通告を米国に通達し、日本側の最後通告を突きつけた。

一 日本帝国は東南アジアにおける欧米勢力の排除に念願し米英蘭の亜細亜全域からの撤収を要求する。

二 帝国はこれを受けて東南アジア各国の民族自決政府を樹立させる。

三 右の要求が貴国らによって受託かつ実行されると同時に我が国はハル・ノートの要求を受託する

つまり、米国政府にとってはハル・ノートを飲み込む事は亜細亜の利権を失う事になる……それは英吉利も阿蘭陀も同じであるのだ。
かくして、米国はそのまま交渉をせざる得ない……事は阿蘭陀や英吉利の命運を左右する事態なのだ。翌年、欧州では神聖第三帝国独逸と伊太利亜は侵略を開始し、日本帝国にも矢の様に米国打倒の要請が来ていた。だが日本は既に全体主義国家ではなく寧ろ共和国制への移行を初め、満州国の完全なる独立と朝鮮国の自治政府化は日本の国策であった。

 呉造船場に橘は訪れていた。
「コレが大和か……」
横にいた技術主任は言う。
「苦労しましたよ、何しろ後部甲板を飛行甲板と艦載機格納庫にしろと聞いたのは箱根でしたからね……」
「帝国海軍技術部の異端児である君なら出来るとある人の推薦もあってね……ある程度は単独で動けるコマが欲しかったからな」
「光栄です……二番艦”武蔵”、三番艦”信濃”四番艦”三河”はそれぞれ佐世保、横須賀、陸奥海軍造船場にて急ピッチで進めてます」
「”真珠”取りに間に合わせるつもりはない……艦載機は零ではなく征鷹(セイタカ)を予定している」
「あの高高度迎撃機を!!」
橘は彼に耳打ちし、技術主任はギョとする。
「貴方は恐ろしい人ですね」

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す