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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 17

「はい……線路幅が異なるとなると独逸の鉄道車両は使えませんので物資の詰め替えで相当な人員を動員する必要があります。まさか敵捕虜にこれをさせると危ないです」
「確かにな……」
「コンテナのよい所はこれは荷役の省略化は鉄道のみならず船舶にも恩恵を与えます」
オットーの言う通りだ。
「海軍と陸軍の研究会も補給面に関してはこれに注目している。鉄道省の技術会を巻き込んで既に試作車輛を作っているそうだよ」
「コンテナの材質だが航空機の複合材や合成木版も使用、更に防錆技術も盛り込むと聞いてますが」
「物資補給も戦略のうちだよ」
日本の鉄道は沿岸に沿って敷設されている事や海運にも使う関係上、潮風に対する錆対策に惜しみも無く軍で研究されたモノを転用する。民生にも大きく付与できるしこれは戦後の物流にも生かされるだろう……独逸のコンテナは材質までは手が回らないが日本の場合は山岳地帯を幾つもあるのでコンテナの軽量化は必須であった。
「将来的には航空輸送もこのシステムを採用すると考えている」
「橘少将」
「無論これも民生にも生かされる……このコンテナそのものが倉庫みたいなもんだ」
「倉庫」
「ソウデス、コンテナそのものがゼンセンでの倉庫の役割をハタシマス」
「下手すると住めそうですな」
「それも進めているよ……戦争用と言うよりは被災民緊急住宅って言う形でね、こちらは民間主導だ」
オットーは納得した、この国は火山列島と言う事で地震が多い……それゆえにこの国の軍隊は地震に対する備えも用意する必要があるのだ。
欧州の殆どは地震と言うのは縁が無いが日本は希有な火山で構成された列島と言っても良い。
「さて、我々が打てる手はまだ残されているか」
ミットウェー海戦の勝利も世間に淡々と伝えられ、今後の戦局はダッチハーバーにある新太平洋艦隊の動向にかかっている。しかし日本海軍も手痛い損害を及び金剛は直ぐに横須賀への帰港を進めていると言う。
「武蔵の投入もあり得ますな」
「航海試験中で問題はないのかね?」
「現段階では……比叡、榛名、霧島は航海試験を兼ねた本土防衛領海内の航行中です。問題は斜め飛行甲版の慣れ位なもんです」
「そうか……」
金剛型航空戦艦には斜め飛行甲版が設置されたのは将来的に墳進機運用を視野に入れているからだ。海軍航空士達は飛行甲版訓練の為に陸上基地で基礎をみっちりやり、琵琶湖湖畔内には飛行甲版を設置した台船が数隻設置された。
「商船改造空母の幾つかは訓練空母としての兼任になりますな」
「苦労をかけるな」
橘はそう告げると昨夜の事を思い出した。
その夜、娘が嫁いでいる赤坂にある料亭“時時雨”の奥座敷にて極秘会合を実施していた。この時時雨の板前は元部下であり、料亭の閉鎖的な空気が嫌で海軍士官をしていた。料亭の子とあって料理には事細かに精通しており彼が残したカレーライスのレシピは皇室すら通用したと言う伝説を持っている。彼の父親即ち先代の大将が急逝し、経営だけは才能を見せた実の兄は弟を呼び戻した……この際橘は娘の千代を嫁に嫁がせたのである。理由としては兄は女将になる才女を探していたが偏屈者である弟は女には興味が無かったのである。軍隊では父親代わりであった橘は責任を感じての行動であった。
「無理をさせてすまないな」
「お父様の頼みなら義兄さんも喜んで協力しますわ……客人はユダヤ人ですね」
「うむ」
「あの人は洋食にも通じてますから……」

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