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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 16

日本帝国海軍もまた商船改造空母をベースにして魚雷艇母艦“大鷹型”三隻を配備させており、本土海域防衛の要的戦力である。米国は潜水艦にも力を入れ始めている事は想像しやすい、潜水艦は敵本土にスパイを送り込める事は日本海軍も知っているので対潜戦術の構築を急いでいる。
「全砲、散弾弾頭!」
「主砲発射後回避行動に入れ!艦首/艦尾補助推進とりかじ!」
ほぼ水平で発射された大和型航空戦艦の全砲弾には散弾弾頭が装填、砲弾は魚雷艇の少し手前で弾頭カバーが開き多数の散弾が襲いかかる。人に当たれば即死は確実となる。
「敵魚雷艇から魚雷多数!」
「駆逐艦隊が前に!」
大和や赤城に直撃する魚雷の進路を防ぐ陽炎改型駆逐艦四隻から其々の発光信号が送られる。

 キカンノブウンヲイノル

主砲と四連装魚雷発射管、爆雷投射機が一斉に動くも四隻の陽炎改は巨大な水柱を受け黒煙が上がる。
「乗務員の救出を!」
「煙幕晴れます!」
「主砲各自一斉射撃!」
大和型主砲51センチ砲がミットウェイの海に響く……三隻の老朽戦艦の周辺に水柱が上がり先程攻撃を受けていたテキサスが傾き始めた。艦橋を喪失するもニューヨークに随伴出来たのはテキサスの臨時船長になった機関室長を筆頭にした下士官や砲塔要員らの奮闘であったが機関室長はキングストン弁の爆破を決意、自沈するのである。これには旧太平洋艦隊の戦艦六隻が拿捕された前例もある。旧式艦とは言え油断は出来ないのだ。

「艦長!」
「何!ジャップの艦載機がジョージワシントンを攻撃!敵はジーク(零戦)ではないのか?」
「新型です……二重反転プロペラ機です」
「な、なにぃい!」
二重反転プロペラは水上レーサー機なら数例あるがそれを軍用機、しかも艦載機で実用化している……海軍や空軍の研究グループさえも二重反転するならエンジンの数を増やすか出力上げたほうが実用性が高いと言われている。
「日本軍機のレベルの高さは異常なのか」
「いいえ、日本軍は軍用機開発に置いてはユダヤや亡命ドイツ人の影もあります……」
「!」
「軍艦に置いても日本は薩摩型の失敗を冷静に受け止めビッカーズに金剛型を発注、それ以降の姉妹艦は全て自国で建造してます」
戦艦も航空機も工業力や技術力、人材育成の指標と言える……日本は工業力に置いては米国並に揃えるのは時間がかかる、だが人材育成に置いてはユダヤ人や亡命ドイツ人の受け入れにより……。
そのレベルは以前とは異なる……日本は古い社会理念が支配し、先の日露戦争で勝利した事がこれを加速させていた。結果的に精神論が支配しているがその認識は過去のモノだ。
「ユダヤ人を我が国が敵性民族と見做せば」
「ボッシュと同じになります、そもそも……わが国にはユダヤ系は社会的地位があるポジションが多いですからね」
ニューヨークが大きく傾く。
「弾薬庫注水!」
「くっ……敵砲弾が喫水線下を狙ってくるとは」
艦長は総員退艦を指示、そしてキングストン弁に仕掛けられた爆発ボルトが誘爆した。



ミットウェイ海戦は米軍の敗走で幕を閉じ、この事が豪州政府内での対日講和を加速させた。日本政府としても豪州上陸戦は避けたい意向も見え隠れしているのは英国王室の避難先にここを想定しているからだ。
「水面下の交渉が新嘉坡(シンガポール)で始まるか」
橘はヤレヤレと思う、豪州に派遣された米軍も陸軍が本土への撤退を検討しており海軍を困惑させていた。と言うのも欧州戦線は完全にナチス独逸が蹂躙しておりスターリン率いるソ連軍も推し込まれている……物資補給をスムーズになっているのが原因であった。
「聞けば“こんてな”と呼ばれる規格を取り入れているそうだな」
「はい……要は貨車が貨物と台車が分離出来ると。欧州各国は陸続き故に鉄道網がありますが国によっては線路幅が異なります。侵略された時には補給路になりますからね」
「租連(ソ連)もそうなのか」

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