PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 158
 160
の最後へ

戦艦空母艦隊 160

蒸気機関車は進行方向を変える為に転車台や水タンクに石炭も常に確保しなければならない……しかも蒸気が出来るまで時間が掛る上に作業員を要する……その点ディーゼル機関車は動力システム上前後に運転席を設ける事が出来る上に燃料と適切な整備さえしていれば直ぐに動く。以前からは工業地帯と港湾を結び路線には小規模なモノが運用されていたが蒸気機関クラスのディーゼル機関車の実用化には大型ディーゼル機関の開発実用化が至上命題であった……奇しくもそれを解決してしまったのがポルシェ博士、彼はエンジンで発電し電気モーターで駆動する戦車開発に情熱を注ぐも機関の致命的な重さや効率性の悪さゆえに断念……しかし鉄道技師がそれを知って実現したのだ。
既に鉄道は戦争に置いては勝敗すら左右する重要な要素になっていた……ポルシェ博士は渋々自分が発明した動力システムを提供する事になり、長距離移動を要する軍用列車にはディーゼル機関車、要塞内での列車砲を移動させるには蒸気機関車を使いつつもディーゼル機関車の更新作業をした。これには列車砲の危うい所がある……長距離砲であるが故に要塞内での運用となると火薬の多さは海上戦艦以上……ここに焼夷弾でも落とされたら一巻の終わりで蒸気機関車も火の粉を抑制する特殊な煙突を装着するほどだ。


「ドイツもディーゼル機関車投入とは……参りましたな」
「戦車で培ったノウハウを生かしたのに過ぎませんよ」
アメリカ合衆国国防省地下にある一室にて背広を着た男らは話していた。たばこの吸い殻が盛られた灰皿が如何にストレスの多さを物語る。
「我が国の機関車もそうなるのか?」
「はい……コンソールディーゼルが思ったよりも使い物になりましたよ」
アメリカ合衆国の鉄道事情は創業時から一貫して民間企業により運営されていたが先の大戦時に一時的にUSRAと呼ばれる国鉄組織を編成し人と物を運んでいた事がある。この組織は大戦終結して数年で解体された……がこの第二次世界大戦で再び編成された。その最大の要因が日本軍によるパナマ運河爆撃による運河の閉鎖と第二パナマ運河とそれに付属する要塞建設……そして米国北東部の各貨物鉄道会社らは人材不足からくる損害を回避すべく政府は貨物鉄道公社コンソールを設立している。この会社が荷役の効率化として船会社数社と共同開発したのがフィートコンテナシステムと運行効率化を目指す為に船舶用ディーゼルエンジンを応用したディーゼル機関車を開発した。更にメキシコとカナダも同じ線路幅にしているので波及には時間が掛らなかった。
「日本には売り込めないな」
「あの国は既に鉄道車両を開発できる力がある」
最も米国の車両規格では狭く山岳地帯を走る路線には向いてない、それなら台湾やら高麗共和国の方がまだ見込みがある。
「米海軍も漸く潜水艦支援艦の建造に乗り出す、日本と真逆をする事になるがね」
「ほう」
米海軍はこれまで潜水艦支援船舶は補給船での代用していたが限度も見受けられた。そこで建造途中の戦艦を設計変更したのである。

細かく言えば建造途中で艦橋や主砲ユニットが無い船体を空母化する要領ですればいい……これまで米海軍の潜水艦運用は基地による補給が主体で洋上補給はあんまりされなかった。しかし島々全て海軍基地に出来る訳でもなくUボートの跋扈には物量で推す米軍も流石に限界が近い、本格的な潜水艦支援艦を建造に至るまで米海軍内とホワイトハウスにペンタゴンは並ではない調整が図れたが有効である事は日本海軍の潜水艦運用思想を見れば明らかだ。これを認めるまで幾年もかかったのは痛恨の極みとも言える。さぞかし今の大統領もアスピリンが手放せない状況になっているだろう……。

ハンレー級潜水母船は日本海軍の大鯨を参考にしており煙突も空母同様横向きにしているのはやはり急降下爆撃対策や空母転用作業の省略化である。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す