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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 157

米国が積極的に援助しなかった理由としてはフランスの反ナチスレジスタンス組織の一枚岩ではない事だ……つまり海軍主体の自由フランスから見れば陸軍のマジノ線構築は大失策だ。あっけなくナチスドイツの戦車隊に走破されたのは事実、そもそも戦車が登場したのはWWTの欧州での塹壕戦が原因の一つだ……塹壕ではなく防衛線を構築すれば戦車を阻止できると判断したのだろう……だがドイツはフランスの予想以上に戦車を短期間で発展させたのである。正規装甲空母アメベ.クールベもWWTの日本に貸している戦債を返済を諦める条件で取得した……ポルコから言わせれば祖国の海軍将校よりはマシに見えるのだ。





戦局が硬直しつつあるが日本にとってはまたも無い機会になった……それは本格的に日本社会のシステムを欧米並に移行する。地方では江戸時代とも変わらない因習が残っておりこれを一掃する狙いもあった……一つは男性社会が一時的に弱くなっているし、欧州の状況次第では難民の多くが移住する恐れも出て来る。その兆候は既に満州国で見られている。
「中国の状況は狙い通りになりつつありますな」
「うむ……共産主義の一掃は重要だ」
清王朝崩壊後、中国は列強の進出とそれに反する民衆との衝突による戦乱は熾烈を極めた……だがヒトラーの登場により欧州の列強は中国から去っていたが日本は中国共産党との戦いに消耗戦になりつつあった。そこで橘らはクーデター後に傀儡国家であった満州国を正真正銘に独立国とした……これには欧州から逃れて来たユダヤ人対策の一環でもあり、中国人の変わらない思想を一掃させる荒っぽい手法と言えるが……近代的な法治と教育制度に加えて人権と言うファクターは中国人民に魅力になり、隣国の中国民国はその手法を真似しないといけなくなった。
これが日本政府の狙いだ、共産主義を合理的に排除する為にこの大戦を利用した……特にソ連の崩壊は日本にとっては願ってもない状況であり、共産主義や社会主義による独裁が齎す惨状を積極的に国内外に宣伝したのである。故に日本国では共産/社会主義思想は天皇制を崩す先兵として恐れられた事も手伝い大戦中は息を顰めるしかなく、列強の複数国がナチスドイツに呑まれた事も国内世論を誘導しやすい。中華民国にも存在していた中国共産党は弱体化が進み昨年遂には内戦を終結する事になり中国民国国会には一つの政党として参加する事が決まったのである。既に欧州思想に近い法律も出来つつあり彼らにとっては後の祭りだ。

「壱岐と対馬の投入も上手く功をそうしたな」
「はい……橋立も本来の任務に戻れてます」
橋立とは橋立型砲艦一番艦で上海事変後は権益保護を名目に数多くの砲艦が派遣されている。しかし橋立は動く領事館とも揶揄され艦長も他の戦艦の艦長よりも外交官代わりにする事も多く砲艦の艦内設備では政変後の日本政府方針の外交業務が困難になりつつあった。そこで琵琶湖型特型輸送艦二隻を壱岐型多用途支援艦として投入したのである。表向きは砲艦や海防艦の補給を担う輸送艦であるが複数のコンテナには領事館機能を有しており分析や暗号文の作成や解読も出来るようにしている。無論上海にも大使館があるのだが欺瞞情報の発信源に利用している……壱岐と対馬には外務省からの専門家が乗船しており影大使として艦長の補佐に回っている。
「案件769号は解決か……これでシナ共産党は弱体化だな」
「全くな、上海に居る連中も安堵しているだろよ」
対馬の偽装コンテナ内部にある業務室にて二人の男が言葉を交わす。外務省から出向しこの船に乗り込んで数年は経過している……とはいっても定期的に本土にある外務省に書類提出したり故郷に帰っているので寂しさはない。
「満州国の情勢も安定しているから邪魔だけはさせたくはない……そもそもシナ共産党はロイヤルファミリーが居る事事態を嫌うからな」
満州国皇后は皇室からの御輿入れとあって情勢が不安定な中国を正常にする必要もあった。
「近頃はアメリカ系華僑の影響も受けているが好都合だ……」
「各鎮守府からの突き上げがこないだけでもマシかな?」
何せこの二人の役目は暗号文の解読するのは仕事だが罵詈雑言のだらけのモノも珍しくなかった。

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