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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 156

とにかくムッソリーニが空軍を創設してそっちに力を注いだために海軍所か陸軍も兵器開発が遅々として進まず結局はナチス第三帝国の兵器が主力になっている……事実上の属国だ。海軍が苦心して建造した最新鋭戦艦も反乱の末に沈んだ。まあ行動を起すのが遅すぎたとも言えるが……。
「教官、訓練飛行の準備が終わりました」
部下の言葉に彼は返事をする。
「あいよ」
教官の詰め所にてイタリア語に訳された書類を置き、ゴーグルと帽子を手に取る。
「すこぶる調子が良いな」
「機関も最新鋭に更新してくれたので……」
今自分は沖縄沖にてジュベッセ.ミラーリアに乗り込み米国本土からの志願兵らに水上機の飛行訓練をしている。父親や祖父の祖国を救いたいと言う熱意で熱く感じる。日本海軍の飛行艇や水上機運用能力は高レベルだ……正直自分が教官をする程の腕前なのかも疑問に感じるが……。
「タイ海軍のチャクリ.ナルエベトの第一次改装終わりましたね」
「戦艦空母か……なるほどな」
タイ王国は領土拡張ではなく防衛に重点を置いており地政学、シャム湾の制海権保持がポイントになる。チャクリ.ナルエベトは戦艦として建造したのは一つは欧州諸国に対する威嚇である……そして空母機能を持たせるには戦艦空母化が一番なのだ。
その為にタイ王国と長門型戦艦の発注し運用し自国の工業や技術を発展させていく……世界規模の戦争はまさに近代化を進めなければ民族殲滅に遭う事を示していた。今回の戦艦空母化もタイ王国で実施、これも近代化のアピールに過ぎないのだ。
「さてマルコポーロが何処まで役に立つかな」
ポルコはやや自虐的な表情になるのも分かる。イタリア海軍が漸くまとな空母を持てたからだ。
「こっちも負けてられないな」
「はい」
彼はマルコが育てた水上機/飛行艇乗りの一人でカナダに移民した両親から産まれた。イタリア移民とあってカナダでもそれなりに排斥運動が起き、既にカナダ海軍に身に置いていた彼は出向と言う形で参加している。
既に陸上機でのライセンスを取得し腕前が良く空母艦載機乗り候補として育成の最中とあってはカナダ海軍首脳陣にとっては苦渋の決断だ。既にマジェスチック級空母の運用が始まろうとした矢先に情報部や国民の不信感で彼を初めとする敵国出身移民者とその次世代を軍から遠ざけないといけない。日系移民の中には満州国を初めとする亜細亜各国への移住や日本への帰国をしたり、更に辺境への移住を余儀なくされた。その結果カナダ海軍の将校の質が少し落ちており国民も情報部も真っ青になりつつある。
その為かここ数ヶ月は敵国出身移民に対する無用な差別をなくす為に色々な政策をしているが……そう簡単に改善されない。ポルコも祖国とは距離を取らざる得ない状況に歯痒さを感じているが水上機の操縦と戦闘しか能が無いのも事実だ。
「教官、水上機は役に立つのですか?ヘリコプターの訓練した方が……」
「ヘリコプターに関してだが亡命政府海軍の人材を考えると導入はこの戦争が終わってからだ……まだアメリカですらノウハウが確立してないからな」
ポルコの言う通りだ……これが亡命政府の苦しい所で比較的戦力が整っているフランス亡命政府海軍も日本海軍の援助も条件付きだ……後世に遺恨を残す事になるだろう。

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