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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 152

「会議の時間ですよ」
九鬼は連絡士官の言葉に頷く……そしてサイドカーのパッセンジャーに乗り込む。
「あら陸王じゃないわね?」
「ええロンメル亡命軍が使用しているBMWのサイドカーですよ……」
聞けば日本軍や米軍はロンメル将軍が率いる師団の維持の為に戦車や支援車輛を製造しており、このサイドカーもその一つだ。ウラルサイドカーはパッセンジャーにある車輪もバイクの後輪と繋がっているドライブシャフトで駆動するので舗装率が低い日本にとってはありがたく民生にも広がっている。
「戦争の長期化を見越してホンダが軽バイクを売りだしたんですよ」
「軽バイク?」
「あれですよ……」
基地入り口にて出入り業者が使用する見た事も無いバイクに九鬼は驚く。普通バイクは女性が扱うには無理とされていたが出入り業者は地元の雑貨屋を営む女将さんなのだ。
「ホンダ スーパーカブ……後付けバイクとは全く異なる品物ですよ」
連絡将校も初め見た時は驚いたと言う。
当時の日本に置いて自動車やバイクは県庁所在都市や軍基地や工業地帯に集中しており田舎では精々地主や名主や成金貴族の道楽に過ぎなかった……戦争が長期化するにつれて一般職種の少しでも省力化を進めるべく政府も田舎でも普通にバイクを使えるように整備を進めていたのである。そんな時に本多 宗一郎氏が開発し販売した“スーパーカブ”はまさに政府の意向を汲み取ったバイクとも言える……当初は販売が低迷していたが亡命ドイツ人やユダヤ人から評価が高く極東エレサイムに現地生産工場を建てる程の人気となり、マスコミが取り上げた事で人気が出て来た。これまでの日本のバイクとは全くの別次元である事は明白であった。
「専用に開発されたエンジン、海外のバイク並の保安機器で燃費もよいらしいですよ」
「へぇ」
昨年には運転免許制度も制定されており自動車学校は陸軍基地に付随する形をとった。
これには戦後の国土防衛には貨物自動車の運用が必須である事や用地に余裕があると言う理由からだ……物資補給の定番でもある鉄道の場合は敷設も大変だが線路の維持管理も大変である事も事実だ。
「畝傍の空母化は効果があるのでしょうか?」
「怖いのは潜水空母よ……ナチスドイツは海上艦は劣っているかもしれないけどUボートは侮れない」
「……」
「侵攻ルートは北極海が有力視されているけど極東エレサイム共和国海軍も実力を付けつつあるから……ある程度はけん制できる」
極東エレサイム海軍海上艦は全体が砕氷艦隊みたいなもんだ……そしてアメリカの工業力と日本の潜水艦運用技術により潜水艦も向上している。未確認だが樺太沖合で空母型Uボートも数隻拿捕されており上層部は可也焦っている訳だ。


つまり畝傍(二代目)をヘリ空母化してまでも日本政府は敵潜水空母艦載機若しくは巡航有翼墳進弾による攻撃を阻止する……九鬼はそんな意図を感じていた。樺太沖の事が事実ならナチスドイツ第三帝国内は軍隊内官僚主義が先鋭化しており組織硬直を起している事を示す。こうなるとリスクがあっても相当閣下の名を使って軍中枢が暴走を起している。ユダヤ人殲滅はヒトラーの夢みたいなモノだ。
「副長はどう見ますか?」
「今の所は中東がポイントと思うわ……核兵器の開発も起爆する必要があるの」
「起爆?」
「日本国内じゃ無理……そうね、アメリカやソ連とか人気が全くいない上に尚且つ農業に向かない場所、即ち砂漠がベストね」
「そんなにすごいんですか?」
「ええ……まず海軍が米国内にある核兵器開発している研究施設を爆撃した事は知っているよね?」
「はい、海軍の髄を集めた特殊爆撃機と聞いてます」
「私も見た事は無いけど、ナチスドイツの有翼墳進弾を似せた無人誘導航空機弾を合体させた機体なのよ……」
「そんな機体だったんですか?」
「まっ……核反応に関してはある程度予測がついたけど核爆弾の大きさが英国の爆撃機じゃ到底無理なサイズも想定されていたのよ」
「そんな爆弾を……」
「B−30からの爆撃機は可能となっているわよ……最も日本海軍はそれを見越して高高度迎撃機を開発していたから前の大統領も無茶はしなかった」

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