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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 151

こうして見ると人種差別問題はアメリカ軍だけの問題では無い。帰化したり留学している朝鮮人との溝も出来ており海軍内でも問題視されている……軍警察も過剰な取り締まりが拍車をかけている。
「本土に遺しておる連中は?」
「鋭意問題解決中ですよ……流石に抜擢した事もありますね」
「そうか……」
「二番艦高千穂は?」
「すこぶる順調です」
マダラスカル上陸作戦後は航路維持に回り、幾度もUボートの雷撃をされるも回避、その数は飛鳥も超えた。
「太秦は?」
「例のX地点への接近を試みてます」
「最悪核での攻撃に備えて海上艦は全て遠隔操作……米国もオンボロとは言え駆逐艦を出すとは」
側近は呆れたが核爆弾の恐怖を知っているからこその備えでもある。
正確に言えば核反応後の影響がここまで人体に及ぼす事にアメリカ政府は愕然とした。アインシュタイン博士の警告を初めて理解したのだ。ロモアラモスは僻地で地理的要因から人為的高数値放射能線が拡散しなかったがこれが都市に使われた時……今だ経験した事も無く想像を絶する悲劇と苦悩を後世のアメリカ国民に与える事になる。核をチラつかせて停戦交渉に入られたら負けだ。
「しかし米軍まで潜水補給艦を作っていたとは」
「違うなあれは戦略高高度長距離墳進弾母船の原型かもしれん」
「?」
「要はV4の発展型を潜水艦に搭載して攻撃する訳だ」
「そんな夢の様な兵器を」
「出来るさ……」
葵川はこの飛鳥が時代遅れになる事を分かっていた。
ナチスドイツ第三帝国もV4と呼ばれる有翼墳進弾を搭載したUボートを配備している……技術的には可能だったが総統への報告を巡って総統府を初めとする各所で軋轢を生じているらしい。戦局が硬直して漸く落とし所を見つけたと言う感じだ。
「大淀の空母改装は決定事項か」
海軍内で発行される新聞を司令官室で見る。
「畝傍も改装されるんですか?」
「うむ……ヘリコプターの重要性は今後も高まるからな」



畝傍は室蘭軍港工廠のドックに収まっていた。
「機関更新ですか」
ヘリ空母化に伴い機関も最新鋭のディーゼルエレクトニック方式になる。
「砲術要員も墳進弾の扱いの為に研修じゃよ……」
やはりシーレーン防衛重視の為に航空機母艦を増やしたいのだろう。畝傍を初めとする重巡は回転翼航空機母艦に改装されるかそのまま三笠型海防航空艦に準じた装備に更新される、最も恐れているのがUボート搭載艦載機による奇襲攻撃だ。核反応弾による攻撃されると甚大な被害が及ぶ事が想定されており国土が狭い日本だとダメージがデカイ。
「変わるんですね」
「うむ」
艦長も自分が墓に入る方が先かもしれんと思っているらしい。
「中東の開放が問題になるが……」
日本にとってイスラム教を文化圏にする中東諸国は未知だ……今の所は東南アジアのイスラム教信徒を窓口にして下準備を進めている段階だ。
「イスラム教が余りにも時代錯誤だった事もヒトラーに付け込まれ……サダムフセインは強引に文明開化をしてしまった」
九鬼はそう言うと天海は頷く。
「懸念は戦後、反欧米感情が起こるのだよ」
「核ですか?」
「うむ……」
天海はそろそろ後継者を探す必要も考えていた。

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