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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 149

「……アイオワ級を差し出してもいいだろう」
「はい?」
「何れにせよ戦艦は時代遅れるになるだろう……今後は航空戦力と糞進弾が主戦力になる」
側近は絶句するも橘は密かに専門チームに飛鳥を初めとする戦艦は空母化を見越して既存艦の設計図を元に既に空母化の作図している事は知ってはいたが……確かアイオワ級二隻は船体の建造でモスポールしている。アメリカも空母を主力にした戦術を構成する気でアイオワ級二隻を空母にする気だ。
「しかし朝鮮国にそんな技量は」
「だからこそ若宮級の設計図を見せたのだよ」
「次官殿も人が悪いですな」
別の側近は呆れて言う。
米海軍には潜水艦を支援する専用母艦が無い……これも地政学上東西に海岸線があるのみと工業力で数でカバーしているからだ。だがこれが裏目に出た……布哇奪還が出来なかったのも潜水艦の運用力が問題視された。しかもこの体たらくではナチスドイツのUボートに勝てない。新太平洋艦隊司令官キーガンは以前から危機感を訴えていたがワシントンには届かなかった。
「キーガン提督も気の毒だからな……戦艦を与えても一年経たずで役立たずになる」
「キツイ事言いますね」
「アイオワ級を戦艦にするよりは潜水母艦にすればいい……」
「あちらの技師が泣きますよ」
だが米海軍は何時までも戦時貨物船ベースの支援船ではこの先やっていけるのか……戦艦の数を考えると十分とも言える。かといって欧州各国の亡命政府に与えても限度はある……潜水支援母艦にするのが一番理にかなっている。
「戦艦はこの大戦で消える」
「……」
「原子力潜水艦と空母、そして護衛艦がその役割を分担する事になるな」
「原子力?」
「ああ、核は急激に反応させると途方もない熱量と衝撃をだすが、ゆっくりと反応させると膨大な熱量を産みだす……石炭よりもはるかに」
「は、はぁ。ワルダー機関よりも」
「うむ……最もそいつには人体に危機を与える高い放射線を出すからな……捨て場が無い我が国には運用が難しい」
「そ、そんな大層なモノを……」
「米国は次の戦略兵器を原子力潜水艦にするのは目に見えておる……ナチスドイツもな」
「日本では無理なのでしょうか?」
「無理ではない、アインシュタイン博士は更に燃料を完全に燃焼させる核融合の研究を進めておる……最も彼の頭脳を持ってしても実現するかどうか」
前世に被爆し死亡した橘は空を見上げた。


アイオワ級五番艦イリノイは予定通り戦艦に建造されるも六番艦ケンタッキーは上陸支援多目的用途戦艦として設計される事になる。
「上陸作戦か……」
キーガンは苦々しい表情で海軍本部を後にした。側近もまるで不発弾が傍にある様な表情だ。ここまで不機嫌なのは珍しい。
「(気が早い事を……)」
キーガンは参謀本部の面々と現場指揮官のズレがここまで酷い事に辟易を通り越して怒りの表情を見せた。諜報部はナチスドイツの核施設が中東の某所にあり通常兵器による徹底的な破壊工作を打診した……しかしロモアラモスの悲劇を知るキーガンは制圧に拘ってしまい激論になったのである。
「例の書簡は届けておるな」
「はい……朝鮮国に関してはあちら方が知ってますので……それにしても支援してよろしいのでしょうか?」
「しかたあるまい……余裕があるのは日本とわが国だけだ……」
天皇陛下暗殺の事は逐次情報を上げるようにしておりキーガンはこれが軍事面に及ぶ事は知っていた。

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