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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 145

「とは言え犯罪心理学は別物じゃ……ユダヤ人かドイツ人に専門家が居れば良いが」
「は、はぁ……」
「お主には癪に触るかもしれんがアメリカの専門家にもな」
「しかし……日本では第一人者となってますが」
「この分野に関しては出遅れておる、この裁判は結果よりも過程が大事じゃ……今は戦時だが平和になれば経済力を付けた高麗国はどうでるか?それは政治家は政争の具にする」
箪笥から舶来品のスーツ一式を取り出して着替える老人はため息をつく。葵川の狡猾さには見事過ぎる。
「葵川少将はどんな生徒だったのですか?」
「喰えない男だ……政治家に向いておるが本人は嫌がるだろう、ほれ英国女王陛下から勲章を授与された際にもワシに愚痴を零しに手紙で来た程じゃ」
「先生はどうみますか?」
「本人に逢わんと分からんよ」
暫くすると住み込みで働く学生らが駆け付け、荷づくりを開始する。
「場所は網走と言ったな……」
「はい」
老人の名は森 周三……葵川に心理学を教えた師匠であり、日本の心理学の第一人者として名を残す事になる。




そして彼の案内役として海軍が差し向けたのは井川 秀介准尉、葵川以来の異才を持つ若き予備官である。
「犯人は日本語は出来るのか?」
「無理です」
「助手を帯同させてもよいかね?」
「構いません、葵川少将から最大限便宜を図る様に要請がありました」
一人の学生が近寄る。
「彼の名は吉田 善郎……母親が半島出身者だから読み書きも出来る」
「吉田です」
如何にも日本男児に見える助手に井川はニッとする。
「お二方とも船酔いはするほうですかな?」



数時間後、二人は横須賀海軍基地内に通され第72号潜に乗っていた。軍事機密の塊に民間人を搭乗させる事事態に異例だ。
「申し訳ありません、何せ高麗人もナチスドイツも暗殺犯の奪還する恐れもありまして……収容個所も極秘になってます」
「かまわんよ、葵川も乗った事があるのだろ?」
「はい」
「なら、潜水艦乗務員が抱える恐怖も知っている訳じゃ……そして大切な家族を失う理不尽さも」
そう、潜水艦の事故は些細な事でも重大な事に繋がる。日本海軍も無縁ではない……葵川は敵潜拿捕に拘ったのは敵潜を知る事でより一層安全性を見いだそうとしていた。
改めて葵川少将が各方面に要請してまで彼を差し向けた意味を納得した。
「お主は今回の暗殺犯をどう見る?」
「過去の遺恨に囚われたとしか……」
実際、日本軍は安重根に関して調査中であり高麗政府は警察と軍にも協力する様に要請。これに伴い一層の反日思想者の取り締まりも厳しくなっている。
「まっ、そういうしかあるまい……語学も思想も日本人に同じにしたからな……それが植民地支配じゃ」
「最も日本も一歩間違えていたらロシアの植民地になってましたよ」

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