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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 138

何せ、マダラスカルは先日完全に連合軍により解放された。インド洋での決戦後、高千穂を旗艦として編成された艦隊に護衛された蒼龍には日本海軍陸戦隊と米国海兵隊部隊から選抜された精鋭部隊が乗り込む。飛行甲板にも機材を載せており、空母と言うよりは輸送艦だ。幾ら神鷹や鉄鷹を加えても不安が残り、米海軍からも正規空母ミットウェイ級コーラルシーを旗艦にした護衛空母数隻と戦艦二隻を中心にした艦隊が合流した。艦隊陣形は米海軍の方に任せたのである。マダラスカルに行くまでは幾度かUボートによる攻撃を受けるも日米の駆逐艦と対潜哨戒機により蒼龍を初めとする上陸部隊やその機材を満載した船に魚雷が到達する事も無かった。
無論、護衛艦となる駆逐艦が無傷と言う訳でもなく数隻が沈没したと言われている……が、Uボートは悉く撃沈され殆どのUボートは浮上する事も無く海底に沈み、乗務員の多くは二度と祖国を見る事も無く戦死したのである。本来なら海上戦艦や空母群が対処するべきだが地中海艦隊もナチス第三帝国海軍本土艦隊もその余力はなく、マダラスカル守備と制海圏を担っていた海軍部隊は逃げ出す始末。


それでもナチスドイツ第三帝国陸軍は海軍陸戦隊と海兵隊の精鋭と対峙する事を決めた。いざとなればウラン鉱山で強制労働させているユダヤ人を殺せばゆさぶりをかけられるからだ。最もこの様な事も日本軍とアメリカ軍の諜報機関は既に掴んでおり手を打っている。

まず、日本海軍は潜水輸送艦イ900潜を艦隊に先駆けてマダラスカル沖に展開。夜間に乗じて亡命ドイツ軍猟騎部隊と日本海軍陸戦特殊部隊が上陸……同時に上空にはB−32に牽引された輸送グライダーから米陸軍特殊部隊が落下傘で降下した。前以て亡命フランス政府軍を仲介して現地レジスタンスとの協力を取り付けており事はスムーズに進みウラン鉱山を制圧、これをアンタナナリボに拠点を構えるナチスドイツ第三帝国軍司令部に悟られない様にするには亡命ドイツ軍猟騎部隊の存在が不可欠であった。リスクがあったが官僚化が進んだナチスドイツ第三帝国軍では書類で済ます事が多く、ウラン鉱山を担当していた部隊責任者も作戦終了後に亡命を条件にして協力を取り付けた。
部隊に属する多くの士官も罪の意識か連合軍に寝返る事になる……戦死者は狂信的なナチ信者数人、彼らは落盤事故で死亡したとしてアンタナナリボにあるマダラスカル防衛本部に書類で報告、なお落盤事故は人為的に起している。更に暗号解読表の入手も出来た。


数日後、連合艦隊はマダラスカル上陸作戦を決行……レーダーサイド、通信機器設備を空爆、更に発電所も爆撃。そしてウラン鉱山に向かったナチスドイツ第三帝国軍を待っていたのは日、米、亡命独の特殊部隊と銃口を向けた第三帝国兵であった。
これにはナチス第三帝国軍の現地司令部も動揺を隠す事は出来ず混乱に拍車をかけた。そもそもレーダーサイドや通信機器設備に発電所が空爆されたのは連合軍の特殊部隊らの侵入を許してしまったからだ……よもや第三帝国海軍の潜水輸送艦の様な潜水艦が日本海軍にもある事を示すには十分過ぎた。後にウラン鉱山基地攻防戦として後世に語り尽くされる一連の戦闘には初めて陸戦でヘリが投入される……米軍は空母運用思想からヘリの用途拡大に踏み切っており陸軍は兵士や物資の吊り下げ運搬に使える汎用ヘリ開発を進め、試験的にウラン鉱山基地防衛戦に活用する事になる。

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