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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 136

これには日本海軍が開発した磁気探査装置搭載した対潜哨戒飛行艇、ユ号潜による連携、更にここら辺の海域は日本海軍が以前から念入りに調べ尽くした、そこに米海軍の兵力は慣れない海域で作戦行動を強いられるUボートを追い詰める結果になる。
「ぜ、前方に潜望鏡!」
畝傍(二代目)の艦橋が慌ただしくなる。
「警告爆雷!」
これは友軍潜水艦を攻撃しない為の方式で何時の間にか米軍内でも使われるようになった。
「浮上します!」
爆雷をまだ落してないのに浮上した……それはUボートである。
「見た事も無い型ね」
「噂の新型か?」
華の副長は告げる。
「野郎ども、警戒態勢……銃を準備しておけ!」
何せ畝傍(二代目)よりも全長が長い、噂には聞いてはいたが実際に目にするのは初めてだ。
「応援要請……米公でも構わんっ!」
「主砲及び機銃は何時でも発射できるように!」
するとセイルから白旗を持つ乗務員らが出て来る。何れもオイル混じりの海水に濡れている。
「投降するようです……」
程無くして米海軍護衛空母と随伴の駆逐艦数隻が駆け付けた。既に畝傍(二代目)は捕虜を収容する所では無かった。


地中海艦隊はスエズ運河から紅海上に出た所で艦載機を飛ばして北上する日英連合艦隊を叩こうとした。それを見計らって第0連合艦隊は海中から有翼墳進弾攻撃を敢行……それはUボートですら実現してない戦法だ。

これは第三次世界大戦後に判明するのだがナチスドイツは誘導弾技術の基礎はどの陣営よりも優れていたが実践投入には時間を要した。ヒトラーがすべてを決めるシステムなのが最大の原因でありV弾開発もアメリカ大陸を射程にした発展型をヒトラーが命じた為に小型高性能化は遅れていたのである。破壊力があるV2は陸での使用を想定した設計だった為に艦載化は考えてなかったという。地中海艦隊の空母と戦艦はこの攻撃により作戦行動不可能に陥った……指揮系統の混乱により地中海艦隊航空隊は決死の覚悟で日英連合艦隊の空母艦載機との交戦に入ったのである。


半日後、地中海艦隊航空隊は壊滅した。残存機は北アフリカ方面への逃走したが基地まで辿り着けないパイロットを待っているのは砂漠を行軍すると言う無謀な現実……それは先祖代々、そこを生活の糧にしていた砂漠の民でも万全な備えをしても命を落とす場所である。事実地中海艦隊の航空隊再編は進まなかった。
艦載機乗りパイロットの育成が難しい……大海原にポツンと浮かぶ大型空母に着艦出来るようにするには相当時間を要しアメリカ海軍が着艦訓練専用空母を用意したのもそのためだ。ドイツ海軍の航空隊は空軍に基礎を一任しておりこの様な大損失が起きると空母戦略が出来なくなる恐れがある……その危険性を見抜けなかった総統府や海軍省の上層部が如何に官僚化が進んでいたのか……それは書類で全てを済ませてしまうからこそ現場の実情を知らない事で起きてしまった構造的欠陥である。



「さて、ドイツはこれで進撃スピードが落ちますな」
「何れはインドは戦火になります……Uボートの性能も上がってくるでしょう。インパール作戦はどうですかな?」
「はい……泰面鉄道は計画通りに敷設完了してます」
前世では余りにも無謀な故に至る所に日本兵の白骨だらけになったこの作戦も後世ではあらゆる面で対極的になっている。
まず前世では侵攻戦であったが後世では英国軍との共同で進められた補給戦構築作戦である。第二次日英同盟締結後、橘らは今後Uボートの性能が日本海軍の戦力を凌駕する最悪の事態を想定、陸路の補給線を構築する事にした。当時陸路の大量輸送は鉄道が定番であり、同盟国の一つタイ王国に日本軍は南北路線を構築……北はチェンマイ、南はシンガポールを結んでおり一般人にも開放されておりタイ国鉄の基礎になっている。泰面鉄道も将来的には一般人に開放する予定である……。
「いやはやあの区間は本当に国鉄技師らが匙を投げかけましたぞ……」
「写真で見たがかなりの難工事だったそうだね」
チョンカイの切り通し……派遣された日本国鉄土木技師や英国鉄道土木技師ですら匙を投げかけたがユダヤ人やドイツ亡命土木技師らの尽力もあって木製の橋としては完成したのである。
「今は工事用の蒸気機関車を使ってますが何れはディーゼル機関車に切り替えます」
「うむ……」

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