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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 135

艦砲よりも魚雷の方が有効なのは一重に潜水艦の発達もあるが航空機の発達も挙げられ、更に空母の確立と言う事情もある。魚雷の大きさ、即ち爆薬を搭載出来る量は海上艦や潜水艦搭載の方が勝るが数に限りがある。艦載機搭載は爆薬の量こそ劣るが補給性に関しては勝っている。即ち米国は数で圧して来るので航空機魚雷も多くなる……前世の大和は両舷合わせて25発の敵艦載機からの魚雷攻撃を受けて沈んだ。後世日本海軍は早くから魚雷迎撃兵器を充実させた訳だ。
「そ、そんな権限が……」
「既に本隊は作戦行動不可能レベルまで到達してます……即ち通常補給艦さえもインド洋に展開できません」
「パスタ野郎……」
「本隊との通信も途絶して数時間、本艦も補給任務が済み次第基地へと戻ります」
既にこのUボートも補給する品物が尽きてしまい敵に捕捉されたら終わりである。この際とっと魚雷を渡して制海圏が確立された紅海に逃げ込むしかない。
「それ以上の異議は上に報告するっ!」
「覚えていろよ……」
「無事に再開出来れば何時でも……」
補給艦型Uボート艦長は作業を急がした。敵はこの事実を察している筈だ。
「レーダーに反応っ!!!敵航空機です!!」
「作業員は直ぐに戻れっ!!対空火器、銃身を焼きついてもいいから弾幕を張れ!」
だが米海軍攻撃機は一斉に魚雷を投下した。
「急速潜航ぉおおおお!」

作業員全員が艦内に居る事を信じ補給艦型Uボート艦長はセイル中へと入るなり叫ぶ。Uボート二隻も急速潜航に入るが航空機魚雷はダツの大群の如く三隻のUボートめがけて突進してくる。
「外れたか!」
だが米海軍の航空機搭載魚雷は次元近接信管により一定時間が過ぎると爆発し、その威力は水圧や衝撃波として海中を揺らし地震にも匹敵するほどの威力だ。
「(無理も無いか……)」
本隊、即ち地中海艦隊と本国の艦隊からも連絡が途絶したと言う事は被害が甚大と考えてもよい……。
「艦長、浸水個所の修理に取り掛かります」
艦載機タイプに搭載される航空機魚雷の場合は一機に一発のみなので一回の攻撃を避ければいいのだが……まさか全弾を爆発させるとは……大西洋で暴れまくったUボートを如何に米海軍が恐れているか如実に表している。
「付近にUボートは確認できるか?」
「今の所は……」
航空機魚雷でも同時多発に爆発すればその水圧はバカには出来ない……船体からの浸水も大きな穴が空けば沈没、そして生存は絶望的だ。


畝傍(二代目)は補給艦に接舷し作戦行動不能な乗務員を移し、消耗品を補給する。
「機関長、どう?」
「大丈夫、ただあんまりブン回す事は避けろ」
「無理」
そう言いつつも九鬼は機関長が好きな銘柄である日本酒一升瓶を置く。
「わかったよ、華の副機関長と相談する」
機関長はため息をつく。
ただ副長の気持ちも分かる。
「しゃぁない、機関長の姐御……タイでドック入り出来るか掛け合ってみるわ」
華の副長はこのやりとりを聞いていたらしい。
「助かります」
「実際こいつは取り替えた方がいいな」
それは最悪数ヶ月の戦線離脱を意味するが米国との同盟を結んでいるのなら可能だ。
「そこまでもつかな?」
「少なくともUボートの攻撃は無いからな……」
華の副機関長の読み通りUボートの撃沈は未確認も含めてかなりの数に上がっていた。

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