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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 134

補給航路防衛には同盟国の亜細亜諸国連合軍と豪州海軍がしているがやはり対潜/哨戒に関しては粗い所がある。
「健在ですがUボートの予想以上の数と思われます」
「余所の戦線から転戦していると言う事か?」
「なるほど、Uボートの連中も必死か」
前述した通りナチスドイツ海軍内では日本や米軍よりも潜水艦に関しては突き出ていると思われがちだが運用方法に関しては実に陸軍国家らしく沿岸基地を中心に展開している。日本海軍の様に多数の潜水艦を支援する艦艇を揃えるとは対象的だが大海での補給面になるとナチスドイツのUボートは非常にまずい事になる。支援艦艇の運営には護衛艦は元より制海圏をとる必要もあるのだがそれに必要な戦艦や空母運用に関しては遅れている。無論彼らは補給艦をUボート化する事で何とか運用している模様だが……その優位性も危うい。
「主砲全砲門対空特殊弾装填」
「あれを使うのですか!」
操舵手の問いかけに司令官は言う。
「うむ、核よりはまだいいかもしれん」
出来ればあんまり使いたくないが……航空機が戦力として脅威になった故に日本海軍が開発した気化弾頭、これは戦場で使う事を前提に搭載された。
「各員閃光損傷防止ゴーグル装着!!!」
「テェっ!」
長門の主砲が咆哮した瞬間、第二波の対艦攻撃機隊は急上昇をするが砲弾に仕込まれた特殊弾が急速反応し空を閃光と轟音に包まれた。機体は瞬時にして蒸発し燃えカスになった焦げた金属片が落ちて来る。
「敵攻撃隊壊滅!」
「前方から雷撃!」
こっちにも来たか……。
「駆逐艦数隻が前に!」
無茶をするな……だがこの分だと沖縄に展開している高千穂にも喰いついているだろう、何せ飛鳥型二番艦となると出世するには十分となるだろう。ちゃんと海上戦力を整えていれば……それを欠けたナチスドイツ海軍は今頃どうなっているか。



畝傍(二代目)にも航空機やUボートの雷撃を受けていたが巧みな操船により魚雷の直撃を一発にとどめていた。
「右舷浸水止まりました!」
天海艦長は考えていた。直撃を受ければこの畝傍(二代目)も沈む可能性もある。
「艦長、ここが正念場です」
駆逐艦“華”の船長は云う。華は数時間前に雷撃を喰らい沈没……生存者は畝傍(二代目)に収容しており闘える者は畝傍(二代目)の乗務員らの補助に回っていた。
「恐らく、魚雷を打ちつくして戦線を離脱している。チャンスです」
「それは分かるが、九鬼副長……」
「潜水艦でも補給の時には洋上しかできない筈です……そして想定以上に集まっていたとしたら」
天海も華の副長もピンと来た。



インド洋の某海域、まっ昼間なのに潜水補給艦型Uボートは浮上しその両舷にはUボートが止まっている。
「こっちが先だ!」
「余所者が口出すなぁ!」
補給艦に摘まれていた魚雷を巡り二隻のUボート艦長は言い争いをしている。無理も無い、ただでさえ潜水補給艦型Uボートの数は少ない。しかも今回の海戦は敵国海軍主力戦艦が揃うとあってインド洋方面のUボートの他にもアフリカやバルト海方面に展開しているUボートも多数押し寄せている。
何度も前述しているがUボートの拠点は占領地域の海岸に要塞港となっている事が多く、制海圏を保持するのが得意が逆に言えば補給艦を用いた戦術となると不慣れである。更にナチスドイツ軍全体で官僚化しており書類の承諾サインさえあればどんな事も出来る……Uボートの艦長も出世の為なら多少強引でも今回の海戦は参加したいと言うのが本音だ。
「ちっ、新参者が」
「なんだとっ!若造っ!」
魚雷を浪費してしまった事自体、Uボート艦長としてはどうかと思う……補給艦型Uボート艦長はため息をつき告げる。
「分かりました……魚雷は公平に補給します。ただしこれは最寄りの基地まで帰港が条件です」
「「!!!」」
誤算だったのが日本海軍の対魚雷防護兵装の数々だ。何せ補給艦にも搭載され魚雷が衝撃で爆発したり航路をそらされたりするのだ。その良さは米海軍も認めざる得ないとも言う。

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