PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 131
 133
の最後へ

戦艦空母艦隊 133

更に北欧の冬季はドイツ軍にとっては想像以上に厳しく銃器を初めとする武器の不良が続出した……これにより歩行での行軍を余儀なくされ八甲田山遭難事件を彷彿とさせる事例が続出した。ナチスドイツの広報はスウェーデンを占領したと言っているが事実は全く逆である。中には猛吹雪の最中に無理な行軍な末に遭難しあわや天に召される寸前でスウェーデン軍に保護、そして傭兵と言う形で参加している元ドイツ兵すら居る……欧州内で拠点を構える反ファシストレジスタンスでは最もしっかりしている。
事実上、北欧戦線はスウェーデン国境付近で停滞しており陸軍は米国等からの補給物資遮断の為に海上封鎖を海軍に求めているのだが……海軍内でも色んな事情により決定打に欠けていた。悪い事に最近になってスウェーデン海軍は中型であるが砕氷航行を持つ空母を投入、これにはナチスドイツ海軍にとっては由々しき事態である。
「ストックホムル?」
「ウンリュウ型に似てますが……この前見た空母は間違いなくスウェーデン海軍です」
U−1189潜は夜間を利用して浮上している、艦内の炭酸ガスが処理機能力を超え濃度が危険域に達していたので昨日の夕方からシュノーケル航行し日没を同時に浮上した。航海士と船長と数名の兵士が警戒しつつも航行を続けている。
「他の奴らは?」
「狩り場を替えたそうです……」
無論勝手に戦線を離脱する事は許されないが裏技を使えばどうにでもなる。大方撃沈すれば価値が高い米国や英国に日本の戦艦を目当てだろう。
「魚雷の数は余りないか……バッテリーは?」
「無茶出来ませんよ、海水に浸かってますからねぇ」
Uボートの活躍が目覚ましいが意外にも悩みがある、それは洋上での補給が出来ない、即ち潜水母艦が余りにも少ない。近頃は大型の潜水補給艦が投入されているが近場のバルト海では回される事は無い。爆雷攻撃で直撃を回避しても海中を揺らされ浸水、バッテリーが壊れ中の液体と海水が反応すれば有毒ガス発生になりかねない、運が悪いと排水機能を失い圧壊、更に海底に着艇する。この着艇が潜水艦乗りにとっては一番残酷な最後とも言える……船長に出来る事は任務を解く位だ。
「本部に打電、“我、艦各部ソンショウ多数ニツキ帰還スル”」
U−1189潜船長はそう伝えると通信士が打電する。
噂では地中海艦隊はスエズ運河を通り紅海へと進出、極光艦隊/亜細亜派遣艦隊が構築したシーレーン分断するつもりだ。その為にバルト海に展開した潜水戦隊を一時的に地中艦隊に付けたらしい……U−1189潜の艦長以下乗務員らはナチス党初期支援者やその子弟らで構成されているがヒトラーの行き過ぎた政策に危惧を思っていた。故に次々と転戦する僚艦をしり目にスウェーデン海軍や輸送船を攻撃していたが、三日前に貨物船を雷撃するも魚雷は回避、若しくは機雷により迎撃。しかも発艦した対潜哨戒機から雨霰の爆雷攻撃を受け、艦内至る所に浸水した。排水ポンプは機関員の手に負えずダマシダマシの運用を強いられ、バッテリーも危うい……昨夜の暗号通信で相手がストックホムルと呼ばれる中型空母である事を知ったのである。
「夜明けまで海上航行だ、乗務員には交代で警戒にあたらせろ」
「はっ!」
艦長はため息をつく。
ため息の理由は総統府は余りにも戦争の現場を知らな過ぎるが文句が言えないのだ。


長門を旗艦にする甲隊はインド洋にてナチスドイツ&イタリア軍の航空機隊の攻撃を受けていた。流石にビックセブンのネーミングは今でも健在で敵航空機隊は長門に雷撃が集中する。
「とりか〜〜じ!艦首横方向推進機(バウスライダー)右舷!!」
更に艦尾からも迎撃機雷発射機がフル稼働し魚雷を遊撃していく。
「チャクリ.ナルエベトにも敵!潜水艦からの雷撃と思われます」
後方にて補給航路防衛当たっているタイ王国海軍総旗艦チャクリ.ナルエベトからの緊急電に司令官は思う。

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す