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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 124

カリブ海要塞は日本海軍首脳陣さえも全容は知らされてないが要塞が昨年から稼働したその年から異常冷夏が続いており英国は影響を受けてはいるがアメリカの主要食物供給で何とか困窮はしてない……そもそも異常冷夏を起すなら海流を変えれば簡単とも言われてはいたが……そのプレートの大きさは高層ビルを沈める様な感じでかなりの数を要する。アメリカの工業力なら出来る事は無い……。
「定時連絡数分前です」
「浮上するぞ」
海面は完全に流氷に覆われてはいるが北極海の氷よりはマシだ……砕氷機動艦隊も編成当初から潜水艦戦力を欲していたが諸事情で中々配備される事は無かったが昨年の宗谷の一件で試作艦であるア号潜甲/乙二隻を急遽砕氷対応して配備、補給はとりあえず二隻のみなので大泊(二代目)が受け持っている。
今後は潜水艦の活用もあるので必要ならもう一隻大泊型を建造する話も出ている。戦艦に関しては今後は三笠型の様な幾分小型で対空/対潜特化タイプが主流になるので白瀬型二番艦蝦夷が戦艦になるとは限らない。流氷の氷を押しのけて浮上した二隻は無数の氷に囲まれた海に出た。通常なら海中から連絡が良いがこの様な場所では無線が繋がらないので浮上するしかない。
「(ここら辺は課題だな)」
ナチスドイツはドイツ国民には東京は焼け野原になっていると言う偽りの情報を流しているので何としてもその通りにする必要があるのだが幾度も長距離爆撃機編隊を繰り出すも日本海軍が開発し実戦配備された高高度局地迎撃戦闘機“征鷹”と“超零”が日本各地に配備、更に大型飛行艇型早期警戒機海雲雀が警戒しておりナチスドイツ空軍は未だに東京は愚か重要な軍事拠点に爆撃出来ないのだ。
強いて言えば日本海側の政令指定都市での空襲被害があるがそれが原因となった死者は出てない。橘らは米国との開戦が不可能と言う時点で関東軍を大陸から撤退、防空体制構築と同時に防空壕の拡充に彼らを使ったのだ。公共施設は勿論、個別住宅にも及んだ。これには各大学の建築土木学科教授らも協力した。結果的に高高度局地迎撃戦闘機の実戦配備に間に合ったが橘らはV1型墳進弾の後継機種が航続距離が延びたり、Uボートや爆撃機搭載しBC兵器使用もあり得るとして防空網の整備に余念がない。
「艦長、白瀬 矗名誉少将がお亡くなりになりました」
「そうか……総員黙とう」
砕氷機動艦隊旗艦でもある白瀬の名は白瀬 矗名誉少将から頂いた。日本人初の南極探検をした英雄でもあるがその後は色々と苦労があり、橘や葵川は個人的に彼を支援している事は砕氷機動艦隊に所属する将兵らは知っていたのだ。
「彼の願いは本格的な探検と学術調査だったな」
「はい……」
今のご時世では無理だが極地探検に関しては水面下で計画が動いているようだ。
「それと蝦夷は予定通りに戦艦として実戦配備されます」
「白瀬型砕氷船艦三番艦か」
「はい、これで当初の計画された全艦が揃う事になります、問題は潜水戦隊が二隻のみで……」
「アメリカもアラスカに潜水戦隊を編成する動きもある……」
そりゃあホワイトハウスが爆撃されたので北極海の戦力強化は必須でワルダー機関搭載の新型潜水艦配備の噂もある。

流氷海域での作戦行動となると潜水艦の方が利点が多いとされる……極光艦隊でも前衛に潜水戦隊を編成しているのは冬季北洋海域での作戦行動も想定している。極東エレサイム共和国は建国当初から潜水戦隊に力を入れており流氷海域での運用や経験に関しては米国海軍ですら頭を下げ、潜水艦の提供代わりに若き海軍士官や候補生を送り込んでいる噂だ。
「換気は済みました……機関、推進機に異常無し」
「急速潜航っ!」
セイルが氷の下へと消えるとまたそこに静寂が訪れた。



愛知県某所にある魚料理の仕出し屋に橘次官が礼装にてある英雄の葬儀に出ていた。無論地元の軍関係者は大慌てで警備をしている。その葬儀の主役こそ白瀬 矗氏である。
「海軍として長年英雄を放置してしまった事をお詫びします」
「いえ、父は決して貴方達の助けを借りたくなかったでしょう……仕方ありません」
橘次官の訪問でマスコミも近所の住民がかつて日本人として初めて南極大陸を探検した英雄の一人が住んでいた事をこの時初めて知ったのである。
「……次官殿、葵少将からの弔電が届きました」
伝令兵の言葉に橘は頷き、その電報を喪主である次女に渡した。

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