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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 121

日本海軍の病院船も例外なく交戦国のナチスドイツに通達しているしアメリカにも通達している……がナチスドイツは病院船の事は通達してないのだ。
「艦長、副院長……当該貨物船に応答はありません」
「救出班、防護装備着用を指示」
副院長は嫌な予感がした。
「救出班からです、船倉に砲弾が撃ち込まれてます……積荷が緩衝材となってますが」
「近寄るなよ……生存者は?」
「発見しましたが何れも重篤です」
操舵室に入り大型船に操舵出来る士官が舵を取る。船を迷走させないと中立にしただろう船長は既に死亡していた。
そのまま硫黄島海軍基地沖へと向かいつつも生存者の搬送を続けた。


程無くしてキーガンの判断により米国海軍病院船とそれを補佐する為に護衛空母カサブランカが硫黄島へと向かう事になる。既に対象の貨物船がSOS発信までの状況は掴み通信が途絶、つまりABC兵器の可能性があるのなら日本軍では手に負えないという判断からだ。技術的な問題ではないこの手の戦いも物量と経験がモノを言うからだ。
「報告書が届きました」
「日本海軍の無線通信システムがここまでとは……」
日本軍は南洋での展開した際に米国との開戦を見越して通信塔と海底電信線を組み合わせた無線通信網を構築、その為に港湾艦を少数配備している。
戦前、日本は国策で南洋の島々に展開しておりインフラ整備をしている。その際無線網も整備されたが島によっては通信塔が建設出来ない場合も出てきた。そこで橘らは潜水母船をベースにし通信塔を備え港湾業務をする新たなる艦種“港湾艦”と言う支援母艦を配備した。漁船に扮した特設特務駆逐艇や本物の漁船からの通報を取りまとめてトラック諸島や当時占領していたハワイから艦隊が差し向けたのだ。米海軍はそのからくりを知ったのが布哇条約後だ……今回は米国籍の船舶と言う事で英国海軍を介しての情報提供となっている。
「症例から見て急性放射能障害では?」
「バカな……」
「確かに核反応ならあのリバティ.シップは蒸発します……ですが放射能汚染されたモノや原子炉で使用したウラン燃料でも人体の生命に影響を及ぼす放射能線は発生します。ロモアラモスでも見られましたからね」
アメリカ海軍病院船コンフォート、コンフォート級病院船の一番艦だ。
この病院船はロモアラモス研究所攻撃に伴う核爆発の被爆者を受け入れた事でも有名な船でありWWTをきっかけにABC戦災にも対処すべく改装され今回はその可能性が高いとして派遣、更にカサブランカも同様に改装されている。基本的に言えば除染の為にスクリングプラーシステムや艦内気密性の向上等である。しかし実際に核爆発に遭遇してないので何処まで有効なのか不明だ。
「日本の病院船は安全圏内を取りつつも硫黄島に向かってます」
「硫黄島?」
「基本的には火山島で地形上島民の生活には聊か不向きで……我々との交戦に備えて疎開、現在は日本軍の砲撃場として活用されてます」
「なるほど……被害は最小限になるか」
「正直日本の病院船で無ければ東京が汚染される所でしたな」
病院船の院長の言葉にカサブランカの艦長はその意味を知った。つまりナチスドイツは新たなABC兵器を搭載した艦載機を搭載出来るUボートを太平洋にも進出出来ると言う事だ……米国の聖域とも言われた太平洋も安全ではないのだ。



硫黄島沖にてリバティーシップを停泊させ、紅鶴が乗務員の応急処置を施す……急性放射能障害の事は書見で見たが院長も初めて見る実例だ。
「(核反応爆発が無いと見ると濃縮されたウランを放り込まれた可能性がある)」
原子炉の事は専門外なのでよくは知らんが要は核反応による熱で蒸気を発生させる……石炭よりも石油よりもEN効率が高いがその反面人体は愚か自然すら破壊する。米国は巨大な原子炉を既に何基が保有しておりナチスドイツも持っていると言う可能性もある。

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