PiPi's World 投稿小説

戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

の最初へ
 11
 13
の最後へ

戦艦空母艦隊 13

これには色々と抵抗があったが“戦争は男だけで出来るものではない、戦国時代には女性の足軽も存在した”と言う橘次官の一喝で電算機操作員、給糧員又は給糧補助員、通信員として女性兵士を配備している。
「対空、対潜警戒を厳に……双眼鏡をありったけ出せ!手が開いてる者に持たせておけ!」
「はい」
艦内通信も女性兵士の役目で伝令兵も女性が担っている戦艦も多い。電探化が進んでも信用面では人の眼がモノを言う……。


数時間後、米海軍の艦載機機影が見え雷撃機が魚雷を投下する。
「主舵いっぱい!艦首補助推進装置全開!」
真珠湾後に取り付けられた艦首補助推進装置は出港/入港補助船舶(タグボート)の負担軽減を狙って装着された装置である。
原則、日本海軍の船舶の整備/改修は建造された民間ドックか海軍工廠ドックになっているが金剛だけは英国産まれと逢って例外的に二番艦比叡と同じ横須賀海軍工廠となっている。とりあえず金剛は艦首補助推進装置を取り付ける為にドックに入り取り付けが完了し浸水が無い事を確認されると引っ張り出され比叡の航空戦艦改修へと移ったのである。
「右舷、対魚雷迎撃砲打ち方初め!」
副長が叫ぶと金剛を初めとする僚艦から空砲の様な音が連発する。対魚雷迎撃砲から打ちだされたのは豆爆雷と呼ばれる防護爆雷で爆発によって生じる水圧で魚雷を誘爆か進路を迷走させるのが目的だ。
「くっ!」
魚雷が誘爆も立て続けに起きれば不規則な波が起こる。
「第二派来ます!未確認の新型爆撃機も……」
「全艦兵器使用自由!各艦主砲はロ号弾頭装填!」
「やるのですか?」
「そうだ……我々には大義名分がある、あの者も大義名分があるが……指導者の判断が誤ったせいで」
艦長の言葉に副長は頷く。
「各主砲班、ロ号弾頭を使う。電探室距離を復唱」
「伊勢から通信“ワレシンヘイキシヨウヲケツダンスル”」
伝令兵の言葉に副長は帽子を手で押さえつつも言う。
「例の奴ですか」
伊勢型航空戦艦は水上機用のカタパルトを持っておりこれを転用したのが対艦墳進有翼弾発射装置だ。米海軍拿捕艦に登載されるのとは少し形が違うしこっちは単装だ……最もこの武器は誘導装置が肝を握るが今回は大雑把でも大丈夫だ。
「伊勢及び日向に対艦墳進有翼弾発射!」
艦中央側面から人間が乗れるだろうの航空機の様な物体が飛翔し艦隊へと向かう敵艦載機上空から一気に降下する。
「総員艦内部へ!着火するぞ!」
金剛の主砲が火を吹き、敵艦載機群の中へと主砲弾が到達した途端にその場に太陽が下りて来たような光景が広がる……ほぼ炭化になった敵艦載機群の残骸が海へと降り注ぐ。
「これがロ号弾ですか」
副長は同情したくなる。第一次攻撃隊の何機は難を逃れたがこの光景には戦意を損失しかねない。
「後方に待避していた空母群が襲われましたが損害は軽微、運用に支障がありません!」
「そうか」
「それと……軽巡阿知賀が新型爆撃機残骸を友軍と思われる巨大潜水艦が確保してます」
「乗務員には口止めしておけ、特一級機密事項になると思う」
「はい、既に私の方からその用に通達してます」
この様な状況下でも通信が出来るのもオットー暗号様々だ……最もそれを支えているのは頭脳明晰な女性士官達だろう。

「空母の装甲化を進めておいて正解でしたな」
赤城の艦長は副長の言葉に頷く。
「例の大和……あれは使えますな、最も航空士は腕利きが要りますが」
大和型航空戦艦一番艦大和は伊勢型航空戦艦の発展型と言える。ただ正規空母や戦時改装空母と呼ばれる運用していた客船や建造中の客船を改装したモノと比べるとキツく、特に着艦は至難の業と言えた。
「今開発中の回転翼機の運用が始まれば……」
「あ、あれは機体スペースの問題が」
「独逸のドラッヘは確かに艦載機としてはダメだが単装回転翼式の実用化には目処が立っている。姿勢制御用回転尾翼機構のお陰でね」

SNSでこの小説を紹介

戦争の他のリレー小説

こちらから小説を探す