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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 119

当初は動力漁船を徴用するも戦局は思ったほど日本側に好転、更に本土防衛戦略が功を奏しており半ば漁業をしつつも哨戒活動をする事を黙認している。意外な使い道としては対潜警戒演習と撃退訓練の補助だ……各艦に搭載されている水偵若しくは対潜哨戒ヘリコプターを飛ばして指示された海域に内火艇で爆雷攻撃を行う。
実は日本海軍の内火艇の主力である11/12m内火艇は爆雷を搭載する設計がされた。小型であるが速成火薬を要するので破壊力は駆逐艦や解剖航空艦に搭載されているタイプに匹敵、その威力と衝撃波で海中の魚が浮かんでくる事もある……と言うのも水上機や対潜警戒ヘリのパイロットは海中に目を細めてUボートを見つけ出す訓練をしているるのだが敢て魚群を見つけるように心かけている。浮かんだ魚はその場に居る交通艇や内火艇に乗った兵士らが引き上げられ其々の母艦甲板上で選別、軍医が許可を下ろした者から烹炊所に運び込まれ刺身は衛生上禁止されたが他の料理にはほぼ対処出来た。これは海軍兵士徴用者は漁村出身者が多いので寧ろこの訓練ばかりは気合が違っていた。大漁になると食いきれないと棄てる事は漁村出身者である彼らにとっては故郷に顔向けできない。しかしそこは軍隊、中には実家が水産加工をしている兵士もおり、彼らの主導で海軍基地で干物や煮干し、鰹は鰹節にした。調理器具は陸軍の陸戦隊用の調理器具や米国や英国のフィールドキッチンを使用した。特にこの様な傾向はアジア各国にある日本軍基地で多い。
この恩恵を最も受けたのが給糧艦、この船は艦隊に所属する将兵に各種糧食を配給するのだが艦内には加工品製造ラインを持ち大型冷蔵倉庫も持つ“動く市場”だ……日本海軍は間宮(二代目)と伊良湖型がある。加工食品に使う魚介類を少しでも欲しがっているのでこの船が来ると抜き打ちで訓練がされるのがお約束であり、給糧艦はお礼に海軍羊羹と称される羊羹を将校や兵士らに与えたのである。この羊羹は徐々に米英海軍にも知られた。


特に間宮製の羊羹は“間宮羊羹”と呼ばれ将校や兵士らに愛され、遂には皇室に献上された事もある。その味は伝統がある老舗京菓子に匹敵しレシピは間宮カレー以上に秘匿された。この給糧艦は計五隻配備され其々の羊羹を初めとする甘味は競い合う事になり、戦後は米軍や英国海軍の給糧艦も参戦する事になる。そのレベルは本職ですら脱帽するほどだ。


因みにこの爆薬投下訓練に伴う漁業行為は国会で問題視されたが橘次官に黒田少将の答弁で野党議員にぐうの音すら言わせなかった。とは言えこんな事は海洋資源枯渇になりかねない、海軍側も対応策を考えていた時に海軍研究機関にある音響開発部署がソナーの高性能化で魚群を映せる可能性を示唆した。黒田は直ぐに飛び付き文部省を通じて工学科ある大学に呼び掛けて音響関連研究している大学教授らに協力を要請した。
これには艦隊指揮中であった葵川にも耳に入り直ぐに腹心の部下らに命じ、事情を事細かに記した直筆の書状を心理学の恩師に送り彼を介して工学部教授を紹介して貰えた。その工学教授は葵川の事は知っていたらしく快く快諾、更にこの工学教授は同僚で漁業関連研究をしている教授達まで声をかけ想像を超える人数が巻き込む事態になる。

其々の大学教授らが試作した魚群探知機は特設特務哨戒艇に搭載され試験されたのである。無論哨戒任務がメインであるのだが怪しまれない様に漁をする必要があるのである。結果、数年後実用化され漁業は経済性が安定するようになった。なお爆雷投下訓練用に開発するもとん挫した水中巡航墳進弾回天を流用する事になる……まあそれでも運悪く魚群が浮く事もあったが……。

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