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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 115

逆に言えば長門型の様な名がある戦艦なら武勲になるが、水上機母艦なんて必要に応じての対象……これも若宮型水上機母艦にした理由の一つだ。
「では、私は顔を出してくる」
「留守はお任せを」
司令官が直々に日本軍統合参謀本部にお出まし……タイと台湾に嫁いだ長門級二隻も姿を見せている事は其々の司令官を乗せて来日したので余程重大な事案だ。
ある程度は察しがついている。噂のアメリカとの軍事同盟締結が決まったのだろう……これには極東エレサイム共和国が最も願った事案だ。満州国もそうだが台湾やタイはアジアの中では新興国と言う位置付けになり、米国にとっては商売先にもなる……続いてインドに香港自治区やシンガポールと言った旧英国連邦領土(要は植民地)がそれに準じる。後は民族性の問題で停滞している場合が多い、その代表格が……。
「朝鮮国か」
かつては日本と併合されていたが橘らの政変後に併合状態を解消されるも三つ子の魂百までと言う感じで日本からの近代化支援策を拒絶や妨害する勢力が存在し、その為か戦艦も八雲型装甲巡洋艦と言う御下がりに甘んじている。まあ機関やら兵装は更新されているが1900年に建造された老朽艦である事は変わりはない。
長門級は1920年、若宮型の原型になっている千歳型水上機母艦は1938年に竣工……つまり朝鮮国の現実を見せているのがかつて装甲型巡洋艦八雲と呼ばれ今は世宗大王(セジョンデワン)として運用している。よく瀬戸内海を無事に通れたな……あの国の海軍にしては奇跡としか言いようがない。その船は鄭和の隣に繋留されており物々しく乗務員が作業している。満州国海軍司令官はその様子を流し眼で見つつも日本海軍参謀部からお迎えに来た乗用車に乗り込む。
「久しぶりだな、Jr」
敬礼する士官に彼も敬礼する。
「馬司令官もお変わりなく……父は現在欧州戦線にて手が離せないので不肖息子である私が代理です」
「葵川 徳一郎海軍大佐……相変わらず元気にしているな」
「中々前線に出して貰えず不満だらけで……親父もホワイトハウスで何をいったんでしょうか……」
「はっはっ……今のうちに人脈創りに勤しんでおくのも良い将校になる一歩だ」
「はぁ……では、本題に入ります」
乗用車は既に走り始めており前後を海軍陸上警備隊が有するサイドカーが固める。
「知っての通り日本軍はアメリカ軍と軍事同盟を結びます、これは戦後暫く欧州やアフリカの安定まで続くと言う事です」
「やはりか……」
「これに伴いアジア各国もアメリカとの軍事同盟に締結する運びになります、特に台湾やタイは重要な中継点として対Uボート対策の拠点に……」
「満州国はどうなるのかな?」
「Uボートが北極海を使うルートが確立していれば……満州国海軍基地に米国潜水艦部隊が駐留する事も考えられます」
海底二万マイルの世界だな……馬司令官はそう思っているがナチスはUボート研究がとん挫している訳でもない、インド洋での結果を見ると北極海ルートはあり得る話だ。最も極東エレサイム共和国海軍潜水戦隊は当初から想定していたらしく研究が盛んになっていると言う。
極東エレサイム共和国海軍は流氷対策の為に海軍艦艇は全て砕氷船としているが最近になって米国海軍研究機関の一つからエアクッション艇を試験導入している……氷の下を航行するのはリスクが跳ね上がるが核物質反応炉潜水艦はこれらを解決する。
「Jrは今回の事はどう思う?」
「ヒトラーを倒すには仕方ないでしょう、核物質反応潜水艦に関してはドイツは間違いなく実用化すると思います」
「……なるほど、ホワイトハウス攻撃は格好の事例になりましたな」
例え帰還が出来なくても総統府は軍内から“英雄”を仕立てられる。これが全体主義の怖さだ。
「それにしても物々しい警備だな」
「諜報部が神経使っているんですよ……近く天皇陛下の亜細亜訪問も始まりますので」
Jrはやれやれと表情をしている。そのうち親父同様癇癪起こして学問に逃げないか不安になるが……。

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