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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 113

フィオは真剣なまなざしで言う、何せ整備の為に必要と言う事で製作した会社倉庫内をひっくり返すかの勢いで見つけた品物だ、
「こっちの木材加工技術凄いよ……接着剤も凄く良いし」
流石に米国にて飛行艇技術を学んできた事もある、ポルコも木冷戦を操縦した事があるが木材とは思えないほど強靭さに驚いていた記憶がある。
「エンジンはどうするんだよ」
「それはローイスロイス社から試作型を回してもらう予定」
「おいおい……」
「合板加工技術の実証機みたいなものよ……エンジンナセルは新規になるから。かなりの高度を飛ぶから風防も強化して呼吸器を載せるスペースも考えないとね」
「あのなぁ……」
「パイロットスーツに関しては米国海軍から電熱スーツの試験を取りつけて貰っているから、流石に本家よりも航続距離が落ちるけどね」
ポルコは時折イタリアに残してきた愛機を思い出す……フィオはその事は知っていた。飛行艇を見る度に彼の背中から悲しみを感じていたのである。ポルコはこの地で飛行艇乗りの育成教官として職を得てはいたが……どこか物足りない感じであった。横浜にある海軍飛行艇研究所には試作機のテストパイロットして参加している。
「わかったよ……色は深紅にしてくれ」
「そうこなくっちゃね」
フィオは併設されている工廠にて工員として職を得ており、またたく間にその腕をいかんなく発揮し飛行艇横丁の娘として面目躍如の状態であった。特に木材加工技術は申し分ないとも言う、そんな中合板加工技術の実証機計画が持ち上がりフィオが持ってきたサボイア.XS21の図面を見て責任者がGOサインが下りたと言う。
サボイアXS21は先の大戦後に試作された戦闘飛行艇、マッキM33同様に機体中央にエンジンを載せた単発機だ。しかしコクピットはそのエンジン後部にあり大型故に前方視界、特に前方上方向の視界が無い……マッキM33の様にすればちょっとした拍子でプロペラが凶器になる。飛行艇の大型化やエンジンの小型化及び複数化によりこの機体は会社の倉庫へと閉まられた。しかしWWT後の不景気により喰い詰めた飛行艇パイロットの中には空族になり地中海を航行する客船を襲い、金や美女を強奪する様になった。ポルコはそんな中船会社や保険会社嘱託の傭兵になり空族からこれらを奪い返す仕事を始めた。その道具がサボイアXS21だ。
空族の機体は原形をとどめてないほど改造されエンジンも強力、並の水上機や飛行艇では太刀打ちできない……イタリア海軍で乗っていたマッキM33では無理、かといって海外のモノはそう簡単に手に入らない、そんな時に出入りしていた飛行艇横丁の工場主の話により、とんでもない機体を見つけた。それがサボイアXS21……試作機らしく深紅の機体は埃を被っていたがポルコはこれに決めた。その名は瞬く間に広がりポルコは直ぐに有名になる……だがそれも長くは続かずムッソリーニが政権を取りポルコもイタリア海軍に呼び戻されたが空母所か水上機母艦さえも不要論が席巻していた。これにはムッソリーニも陸軍出身でイタリアそのものが不沈空母であると豪語した陸軍高官もいる。
ムッソリーニ自体何れは新ローマ帝国の皇帝になる為の地中海支配の為には戦艦しかないと言う救いようが無い無能であった。海軍の有力将校はヴィトリオ.ヴェネト級四隻を主体にする艦隊を伴いイタリアから亡命する事を決意、ムッソリーニが気が付いた時には手に負えない状況でありナチスドイツ海軍が慌てて空軍の力を借りて壊滅に至ったのである。ポルコは愛機をジーナの持ち物(不動産)でもあるホテルに隠し祖国を後にした……そして流れ流れてかつてマルコポーロが記載した黄金の国ジパングに居る。
「……どうなる事やら」
ポルコは頭を掻いて思う、あれをここで作る気なのか……。

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