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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 112

即ちこの世界大戦はそれ以上の戦死者を出す要素があり、下手すると戦後経済やインフラ整備等にも女性起用をしなければならない。女性士官の起用は他国にもあるが殆どがプロバカンダ色が強いと言える……畝傍(二代目)の様な状況ならプロバカンダそのものだがこの様な状況にもなり得る要素がある。核兵器だ。天海にもこの超兵器の事は耳に入り始めており大都市での使用をしてくるだろう。
「軍の重要地帯がある自治体と東京を狙ってくる」
幸いな事にナチスドイツ軍の空襲はあの一回程度になっているのは全機未帰還と言うのが大きい。だが本国では東京を焼け野原にしたとして空撮写真をマスコミに公開している。海軍にこの手に詳しい人いるらしく彼が言うには特撮の一種でスケールダウンした模型を用いた写真と言う事だ。焼け野原しか写真が無いのは最中を再現するには難しいと言う事だろう。


日本と米国は新たなる軍事同盟を模索していたが、葵川がホワイトハウス側の求めに応じて出向いて大統領と会談した事で双方の思惑がある程度は伝わっていた事でトントン拍子に話が進んだ。これには極東エレサイム共和国や英国各欧州亡命政府の意向(=圧力)もあったのだが。

双方は補給と艦艇若しくは艦載機の緊急修理に工廠及びドックを提供、乗務員の福利厚生支援(=上陸)を許可した。そして航空機の共同開発/配備も進む事になり、とりあえず英国、豪州や自由フランス、オランダと言った同盟国に提供される事になる。何よりもホワイトハウスを爆撃され、高度爆撃機により原子爆弾投下を防ぐには高高度迎撃機“超零”を欲していた米国意向が丸見えとも言える。
また飛行艇技術も提供される事になる……米国の高度爆撃機は確かに優れているが滑走路を破壊されたら終わりである。以前米国はB−32による日本国の軍事重要個所同時空襲を企てた事がある……オーストラリアが日本に降伏した直後に発動されクリスマス島(日本軍は伊衛素島と呼んでいた)にB−32の前線基地を構築、しかしそれに向かうB−32編成を日本海軍の高速巡航潜水艦イ号潜の一隻が発見。直ちに布哇に駐留していた第二連合艦隊と八八艦隊が向かう事になる。だがB−32編隊の複数部隊は対艦隊用決戦仕様であり当初から大和と信濃を初めとする日本海軍の象徴を沈める気だった。試作段階の墳進弾を発射されるも同時に大和と信濃は主砲全門と有翼墳進弾を発射……何れの弾頭も気化爆弾でありB−32全機撃ち落とされたのである。大和は中破で済んだが信濃は戦闘不能に追い込まれた。

航行は可能であり信濃はそのまま日本本土へ向かい、空母へと改修される事になる。その間は“大鳳型大型装甲空母二番艦 戒鳳”が第二連合艦隊の旗艦となったのである。司令官の織田は直ぐにB−32の航続距離を推定し、高速巡航潜水艦イ号潜らに補給船団を見つけるように指示を出した。同時に東京の海軍参謀本部は諜報部に協力を求め結果伊衛素島を初めとする周辺の島々に基地があると見越し大和に伝えられた。信濃の救援を僚艦らに任せて大和は単独で殴り込みをかけたのである。途中滑走路破壊弾と燃料補給を数隻の潜浦から受け取り数時間後の夜間には51センチ主砲全門が伊衛素島沖合に轟き滑走路を破壊した。丁度燃料に余裕が無い上に全弾使い果たしたB−32はどうする事も出来なくなり不時着、そこに三式弾が撃ち込まれた。

この結果米国はこれまで放置して研究が進んでなかった大型飛行艇開発に着手した。
着手と言うよりは潤沢にある高度爆撃機計画予算を合法的に使えるようにする為に高度飛行艇型爆撃機開発と言うややこしい状態であったが日本海軍が同様の機体でパナマ運河を爆撃して使用不可能に追い込んだ事を考えると遅すぎると言う声も現場から聞こえていた。結果的に日本とは戦争する大義を失い、第二次日英同盟締結、そしてロモアラモス研究所爆撃に伴う核反応爆発により日本との講和を結ばざる得ない状況に追い込まれた……がこの飛行艇開発は進んでいた。これには日本の空港は限られておりB−32を受け入れる事は困難と判断され逆に水上機や飛行艇なら米国よりは盛んに利用されていた。

「……フィオ、それだけは持ってきたのか」
横浜にある海軍飛行艇研究所にてフィオはある図面を広げていた。マッキM33の後継機として試作されたサボイアXS.21……ポルコが空族狩りに使っていたワンオフ戦闘飛行艇の図面だ。
「うん、後はホテルに隠してあるしね……これだけは失ったら二度と再現できないから」

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