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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 111

これにはユ号潜だけを支援する訳でもなく、米国の潜水艦も支援対象になり得るので大鯨型四番艦“沖鯱”が佐世保にて艤装中である。
「ニュージャージーから入電“ようこそ狼の海へ”」
「返信、“ワレコレヨリ猟犬ヲ放ツ”」
索敵の為にユ号潜は分散、沖鷹も航空機による索敵を開始する。敵とはドイツ国籍の輸送船だが中立国の船舶を装う事もある。難しいのだ。


飛鳥はN.Yを出港し大西洋にて他の艦隊と合流する。
「畝傍の修理は間もなく終了、今はシャム湾にて試験航行中です」
「そうか……犠牲者が出たのは安将丸のほうか」
「はい……」
元々は陸軍計画の空母だ、駆逐艦も相当やられたらしい。

「陸軍計画空母は順次南洋に転属させてますが……中々」
参謀長の表情もさえない。
「我が日本海軍は潜水艦に関してはU142の図面とドイツから技術者招聘してどうにかモノになった」
だがその後は戦艦に固執する当時海軍首脳陣の影響もあり細々となってがワシントン条約で戦艦の数が制限されると幾分研究費も増額されたが戦艦に固執するばかり。橘次官らがクーデターを成功させなかったらどうなっていたか……葵川はゾッとした。ただ日本の場合は潜水艦運用に関しては直ぐに追いついた、その象徴が大鯨型潜水戦隊支援母艦だ。
日本はシーパワー国家だ、故に潜水艦の特性を見抜き直ぐに問題点を補完する為の支援大型艦の必要性を感じた。葵川は干された時代に潜水艦乗りの心理状態を観察して論文を執筆した事もあり、実際に演習航海の潜水艦に乗り込んだ事もある。葵川らの提言は各坐した潜水艦からの乗務員の救助方法まで及びユダヤ人や亡命ドイツ人技師/博士らの協力のかいもあってレ号潜の投入が出来た。もっぱら敵地沿岸部への侵入手段にも転用できるとして納得させた形になっているが……。
「五番艦を英国に譲渡するのですね」
「うむ、Sシップの基地も安全ではないからな……」
今のナチスドイツを止めるにはアフリカや中東の資源を絶つしかない。葵川は一つの考えがある……旧植民地が外部に支配されたのは古い体制を維持したからだ。
結果的に王家を失う事はその民族の精神的支柱を失うと言う事に等しい……だが古い思想で支配する王族は悪でもあるので滅ぼしても仕方ない事だ。日本も幕末の際に最悪皇族を失う事態になる事は十分あり得た……明治政府はそれを回避出来た。そこでこの手法を用いて満州国を近代国家として育成する事は中国の共産化を食い止める一つの手段……酷かもしれないが中国は一つではない、それは幾多の権力者の妄想に過ぎない。
「(ヒトラーは欧州の王になりたいのか……もしあの話は本当なら)」
葵川は海原を見て思う。

「(彼を倒さなければ世界は終わる)」
弱体化するにはどうするか……最も弱い個所を突くしかないのである。




畝傍(二代目)は島風と共に合流を急ぐべくシャム湾を南下している。気温は熱いが波は穏やか……。
「タイ海軍から定期連絡です」
暗号文を解読した通信士のメモを見る。
「Uボート反応なし」
「うむ……まあ嫁入り前で枯れたとはいえその格好は」
「もうしわけありませんっ!」
何せ上半身シャツ一枚かサラシのみと言う格好が多くなり天海も枯れたとはいえ目のやり場に派困る。これにスコールが来ると畝傍(二代目)の甲板は大浴場宛ら、うら若き乙女達がシャワーしたり洗濯したりもする。天海艦長は気を使って艦橋から出ないが……。
「中々難しいですね……女性が軍隊に居るのは」
畝傍(二代目)はこの特異性を生かして女性士官の問題点を洗い出す実験をしており、葵川司令官の心理学の恩師や同級生らが分析をしている。馬鹿げていると思われがちだがWWTの時の戦死者(まあスペイン風邪による死亡者が多いが)の数はバカに出来ずに多くの若者が死亡した事で出生率が下がった国もある。

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