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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 110

とにかく戦後オランダがどうなるかは不明瞭だが亡命政府としては小規模であるオランダにとってはオプテンノール号の一件は致命的とも言える。
「最も苦しい立場は米国大統領かもしれん」
この事は先代大統領であるルーズベルトが仕掛けた事であり、今のトルーマン大統領はこの事が分かると激怒したと言う……。
「艦長、航空機隊全機沖竜に着艦しました。これより作戦行動に移ります」
伝令兵が告げると二人は頷く。
「沖竜の艦長はワシの教え子の中でも昼行燈だ……全く手を焼いた教え子をまた押し付けるとはなぁ」
九鬼は薄ら笑いをするしかない。

「安将丸飛行隊全機収容完了です」
「甲板各員に通達。機体は二線機だが最新鋭機と思え……取扱いに注意しろ!」
雲龍型装甲空母五番艦沖龍は元は南洋航路防衛に当たっていたが米国との講和により対Uボート警戒に当たっていた……無論戦果なんて上げられないので部下のモチベーションは梅雨時の空気そのものだ。そもそも太平洋ど真ん中までUボートが来る事自体あり得ない……艦長の沖村 万次郎はそう思っていた。そんな時に恩師でもある天海艦長が指揮する艦隊にあった特設空母が沈没する一報を受け数時間後にはインド洋戦線に転属、これが一週間前の話になる。万次郎にとっては海軍内の頑固親父と言うほど尊敬している。
「畝傍の様子は?」
「修理を進めてますが時機を見て合流すると言う事です」
「インド洋はドイツのサメ野郎の巣だ……」
「潜水艦隊旗艦香椎が合流、ユ号潜水艦各艦浮上します」
香椎を中心にして円形陣形の様になる様に同時に浮上するユ号潜の五隻……万次郎は敬礼をすると副長以下艦橋要員も敬礼をする。
「流石潜水艦乗りですな……」
「副長は今回の噂をどう思いますか?」
「ドイツが核物質爆弾実験をすると言う噂か、あり得る話だ。我が国が核物質爆弾を開発しない理由は国土が狭いからだ」
「……酷いのですか?」
「ほれ、我が海軍が総出で米国本土に仕掛けた事があるだろ……その目的は米国の核物質研究所爆破だ、所が爆撃の衝撃で急速に核反応が起こり攻撃隊の航空士らは夜明けの太陽以上の光を見たそうだ」
「信じられません」
「研究所は人里離れた砂漠渓谷にあったから被害は限られているが大都市で使用されたら……終わりだ」
「帝都防衛に力を入れているのはその為なんですね」
中東と欧州を結ぶBB路線(ベルリン・バクダットの略称)の完成を遅らすには制海圏を取る必要がある。
万次郎は当初からインド洋に置けるドイツ通商航路破壊に畝傍(二代目)のみにするには疑問を感じていたが徐々に敵勢力が拡大していく中で起きた今回の畝傍(二代目)の中破に安将丸沈没は仕方ないと言う考えだ。
「しかしニュージャージが航空戦艦っていうのはヤキが回りましたな」
「そうでもないぞ……ありゃあ最強の対潜護衛戦艦だ」
「ヘリコプターと言う奴ですか?」
「将来的にはこの空母も艦載機の半数がヘリコプターになると思う。固定翼機は行動範囲が広いが一定区域に留まれない事は知っているな」
「そりゃあ空母乗りならイロハのイですよ」
「そして離発着には距離が居る、空母着艦は着陸と言うよりはコントロールされた墜落っていう事になる。墳進機は特にな……」
「なるほどヘリコプターこそ理想の対潜警戒航空機と言う事ですね」
「ただ難しいらしいな……米国も結構苦戦しているらしい」
後方に随伴するのが大鯨型潜水戦隊支援母艦三番艦高崎、今回からユ号潜はこの船の支援を受ける……この船の先代である大鯨型も剣崎型も潜水母艦として竣工されて運用したが僅か一年で空母に改装、元から空母に改装する事を前提に設計されたのだ。これも当時の軍縮や外交上の駆け引きによるもので、中には民間大型客船を空母に改装出来るように海軍が補助金を出した事例もある。この潜水戦隊支援母艦“大鯨型”は外見こそ剣崎に見えるが倒立可動式煙突に艤装煙突には垂直墳進弾発射機を装備、船内ドックにはレ号潜と呼ばれる特殊救難潜水艇用意された。これは海底に各坐した潜水艦から乗務員を救助する為の特殊潜だ。これにより香椎から潜水戦隊旗艦機能を高崎に移譲する事になる訳だが香椎は前線指揮にして高崎は補給や調整役を担う。

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