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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 107

「如何に自分の祖国が時代遅れの政治体制と言う事ですな……確かに信仰心が高い国は何れも古い封建制度、特に女性の地位が低いと言う事だが……」
「はい……識字率が低く、家庭を持っても男が死ねば……」
トルーマン大統領の言葉に葵川は言う。
「日本政府はアジア各国の近代化支援を実施してますがイスラム教指導者の中には不快感を覚える者もいます、そんな時には日本に留学した人が説得する事もあるんです。今では戒律を守りつつも近代化に前向きな指導者が増えてますが……メッカが異教徒に占領されていると言う扇動する者もいます」
「戦後世界ではテロの根源にもなりかねません……アメリカ国内はまだ極少数ですが将来的にはオイルマネーにより各移民勢力にも匹敵する存在になるでしょう」
アイゼンハワードの言葉通りだ、葵川も戦後日本がどうなるのか予想がつかない……。
「日本政府や日本軍内部にどれだけ対米強硬派は居るかね?」
「そう多くは無いですが……最もそんな連中に騙されるほど国民は愚かではないと」
日本政府は戦況に関しては差し支えない範囲で積極的に国民に知らせている。布哇条約締結後には米海軍との戦闘記録を全て公開しており、その規模から日本軍としてギリギリの勝利と言う事が分かる。新憲法では義務教育を初めとする教育制度も代わり、義務教育を中学卒業までとして将来的には高校卒にも適用する考えである。更に各種専門学校の拡充や提携も打ち出している、最も各産業の人材育成にここまで力を入れるのは戦時中だからだ。
「そのような主張は朝鮮半島人が多いと言う事だが」
「はい……彼らには分からないのです」
葵川としても戦後も懸念だらけだ。
「アジアの安定は経済界にとってもプラスになるが……」
「取り残された時が厄介です」
トルーマン大統領も深いため息をつく、アメリカにとっては戦後フランスの状況が欧州安定のカギになるからだ。
「植民地の独立が相次ぐでしょうな……英国の亜細亜各地の植民地は正常な政治になっているのも日本政府のお陰とみてますが」
「はい……これには対ドイツ戦を見据えての援助です。最も香港は中国の共産主義大国を防ぐ為の都市国家であり、満洲国もその一つです」
「ふむそう見えるかね?」
「はい……無論中国は統一した方が良いと言う考えもありますが結果的にこれまでの王朝は滅んでます。清王朝は列強によるものですが……」

「傀儡政権だった満州国を近代立憲君主制国家にしたのは……意味はあるのかね?」
「王族は民族の心の拠り所です、王族を司るのも人、国家を動かすには人であり、心を共有できる民族の象徴は必要であります。王の位置を変えれば……」
悪い例は政治利用だ……かといって中国の王朝を滅ぼすわけにもならない。

王を失った国家が立ち直れるのは難しい世の中、しかも王の圧政により疲れきってまとなな情報すら無い中で民衆は共産主義に傾倒してしまうとどうなるか……今のソ連の様になってしまう。中国人留学生の中には日本の皇族を手班にした近代的中華王朝設立の考えもあり関東軍はこれを利用した訳だ。
「満州国に関してはこれからも米国は注視する」
「大統領閣下のお言葉は必ず直に首相に伝えます」
「フランス戦後情勢だが日本政府も一枚噛んでほしい」
「状況次第ですが旧植民地の近代化に関しては協力を惜しみません、必要なら海軍の輸送艦や余剰空母による人道支援も考えてます」
既にフランスの植民地であったベトナムやインドネシアでは近代化支援が進んでいるのは現地亡命政府が日本軍と和解しており第二次日英同盟締結になると対ナチス戦に本格的参戦している。YAMATO型戦艦を譲渡した事でこれまで亡命政府機能を担っていたベアルンからジャンヌダルクに移した……ベアルンは引き続き英国極東艦隊内では航空機輸送/修理/水上機母艦として活用されている。フランス亡命政府は複数あり自由フランスが最大手に過ぎない、様々な思想や思惑が乱れ飛んでいるのだ。

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