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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 106

一時間後、葵川はホワイトハウスの大統領執務室にいた。
「ようこそ、ジュネラル葵川」
「ははっ、ジュネラルではなくって少将ですが……」
アイゼンハワー海軍大将との握手をする葵川は苦笑する。
「今回私を呼んだのは……」
「ドイツの情勢と戦後の事です、特に戦後世界情勢の計画はホワイトハウスが作成しているモノは用済み……そこで今の日本政府をよく知る貴方を呼んだのです」
「……あくまで一個人の意見、尚且つ」
「重々承知してます、それでも聞きたいのです。大統領閣下はそこまで追い詰められてます」
「対ドイツ戦のみならず国内問題も……」
「その通りです、リンカーン大統領が道を開いた白人と有色人種との壁を壊さなければ……」
トルーマン大統領の言葉に葵川は頷く。
「……大統領閣下の懸念はよく解ります、それを理解出来ぬ者が居るとは……我国も未だに他の亜細亜諸国を見下す愚か者が居ます」
「なるほど」
葵川は応接ソファーに座り、アイゼンハワード海軍将校は対面する様に座る。
「対ドイツ戦に関してはやはり各所延び切った補給線を分断するしかないです」
「うむゲリラ戦と言う事か、これには地元のレジスタンスとの協力体制がカギとなる」
「戦力面では極東エルサイムにて開発されたSMGや携帯対戦車兵器の提供も考えてます、この件に関しては陸軍との協議中です」
「この前サンプルを見せて貰ったがトンプソンよりも使い物になる……ライセンス生産も視野に入れている」
「後は第三帝国海軍に関しては我々の後れを取っているとはいえ、戦車で培った装甲技術は侮れません、更に艦載機は従来の機体を改修する事で対処してます」
「グラーフツェッペリンがアカギ型を参考にしている節があるが」
「恐らく同盟時代に戦車設計図との交換をした可能性が、生憎この時期は私は干されてましてね……真偽に関しては判断がつきません」
「干されたと言いますと?」
「業者との不正を見つけて糾弾したんですよ……詰らぬ軍閥でしてね、クーデターが無ければ私はこの場に居なかったでしょう。戦犯として処刑されているか、若しくは多くの部下と共に海原に沈んでいるか……」
アイゼンハワーはその意味を悟っていた、確かに前政権のままならアメリカは勝利出来た……だが今の政権は悉くホワイトハウスの想定を覆し、悪い勝利……政治的敗戦を味わう事になってしまったのである。これには三国同盟を破棄し、ヒトラーにより追われたユダヤ人の受け入れが窮地に立たされた英国が同盟を結んだ事でアメリカはこれ以上日本との戦争が出来ない状態に……最も日本空襲もリスクが高い上に原子爆弾を研究していた施設を攻撃、これによる核反応を起した事で原子爆弾による早期解決は諦めざる得ない。ドイツベルリンにも使う計画があったそうだが報復される可能性がある、ヒトラーの性格なら尚更だ。
更にホワイトハウスが爆撃されたと言う事実は案に核兵器が潜水空母艦載機に搭載出来るほどの小型化出来ればアメリカは窮地に立たされるのである。
「我国も原子力研究をしている所がありますが……詳しい事は私の口から言えません、大方平和利用を目的にするでしょう」
「何故、そう言いきれるのですか?」
「核反応爆弾の起爆実験を国内で出来ないからです、これは航空隊の報告で分かった事です」
「ドイツが中東を取りこんだのは核兵器開発の為か」
トルーマン大統領は告げると葵川は頷く。
「中東を解放するにはイスラム教指導者の力無しでは無理、ですが欧州とは歴史的に遺恨がある事は把握してます」
「うむ、今世紀はナチスドイツによる中東ムスリル文化の破壊は戦後はどれだけの悪影響を及ぼすか……想像がつかない」
「ですが、大統領閣下……あの地域は閉鎖的である事もサダムフセインを産み出した、これはヒトラーと同じです」
「葵川少将は第一次世界大戦の戦後処理が間違っていたと言う事ですか?」
「はい……敗戦国は急激な経済混乱になり、国民は強行的な思想を持つ指導者を求めた。それがヒトラーです」
「中東とアフリカの近代化は難しいと思いますが」
「確かに、ですがイスラム教世界も今回の戦争で身を持って知ったと思います」

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