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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 102

彼は当時の海軍将校では珍しく白人優位主義を嫌い、海軍内には媚びる人種差別に警鐘を鳴らしていた。事実、ハワイ陥落は白人優位主義を崩す事にも繋がりかねない事態……こうなると過去に追い出した変人でもいいから人材が欲しい訳だ。彼が海軍参謀部に赴くなり自分の提言が実行されると聞いた途端に呆れたが海軍、いやアメリカを変えるにはそれなりの実績が必要である事も事実で引き受けたのである。

彼は五大湖にて稼働中の外輪客船を戦時徴収する形を取らずに同じ大きさの試作輸送艦をその海運会社に譲渡する形を取り更にシカゴ周辺の海軍基地に“航空母艦発着艦過程訓練隊”を編成させて、全国から来る艦載機乗りパイロット候補生を受け入れた。
そして二隻を航空母艦にするのだが上甲板以上の上部構造物を全て撤去し飛行甲板と煙突と一体化した小型艦橋を右舷に設置したのみである。空母ありながら艦載機収容能力を持たないのはパイロット育成には関係が無いからであり、この甲板も空母としては狭かったが寧ろこれは慣れてくれば実戦配備されている空母の方が広く感じると言う事で効果があった。計画は成功し彼は一目を置かれる存在になると次はヘリの艦載機化計画を打ち出した。この計画も実現するアテがあるから提言したのである。物量があってもそれを使う人間が無能なら負ける、日本はそこを突き、米国市民の世論を利用して勝利した。
フランクリンにとっては最も望んだ状態だ……ホワイトハウスはこれで考え方を改めて貰わないとアメリカは経済でも負けるかもしれない。戦争に勝つには人材を幅広く掻き集める必要がある。例えそれが敵国からの移民であってもアメリカ国民なのだ。日本はユダヤ人や亡命ドイツ人を受け入れた事もアメリカによりよい敗戦を得たからだ、この事は自分よりもホワイトハウスの住民が良く知っているだろう。二隻の外輪客船はセイブル、ウオルベリンと其々艦名が付けられ直ぐに訓練をスタートさせた。結果は直ぐにこそ出なかったが最終完熟訓練期間の短縮が目に見えており最近はドイツ/イタリア/日系移民にもその門を解放、セイブルはヘリ訓練専用空母になっている。
ヘリコプターの運用ノウハウは日本の方が熱心と言う事は薄々気が付いておりアメリカ軍も今後の事を考えるとパイロット短期育成は必須になるのは固定翼機よりも事故による消耗が速い恐れが出ている。ヘリは大体二極化されておる。ドラッヘの様な二組のローターを回すタイプは大型機で主に陸軍が開発を進めているが海軍では飛行艇/水上機派に考慮してか艦載能力を優先にしてメインローター+テールローター式になっている。セイフルではこの二種類のヘリが発着訓練を繰り返しているがシーセイフルは海軍ヘリが多数を占めている。


「フランクリンって言う人は結構キレ者なんですね」
「うむ……アメリカ国民だが祖父か祖母かドイツ系だったらしく色々と大変だったらしい」
情報部も漏洩にはピリピリするのも分かるがここまで苦戦するとなるとあらぬ疑いをかけてしまう、事実フランクリンの復帰に関しては上も色々と裏取引をしてこぎつけた。日本軍による米本土上陸と言う想定がそうさせたのだ。
「水雷艇母艦ですね……友軍のU号潜音源は」
「OK、OK。ちゃぁ〜〜んとハワイ経由デワタシテね」
畝傍(二代目)は乗務員の結婚適齢期を考慮する必要もある、抜けた人員の穴埋めは亡命ドイツ人の少女達が担っている。彼女達は日本海軍女性士官として任官する事も珍しくない。
「ルーシー、英語ができて助かったわ……」
九鬼も出来るが難しくなると最終的には筆談する事も多い。日本は言語よりも翻訳する事で外から得られる文化や技術を習得しているがその半面会話となると出来る者が限られる欠点もある。

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