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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 101

日本の場合は旧式の小型空母を転用しており鳳翔を初めとして数隻が試験母艦として宛がわれ、海鷹もその一隻だ。やはりと言うかこちらもヘリを固定する装置を発明、やはり荒天時の運用が難しいそうだ……。
「やはりあちらの艦長、驚いてますね」
「畝傍(二代目)だけですよ、ほぼ女性士官で構成されているの」
航海長がヤレヤレと思うが仕方ない。
後にニュージャージーの船長は私記にて“日本帝国海軍にサムライの娘達を見た”と称されており、特に天海船長を生きる軍神と称える程であった。
「ニュージャージのヘリは対潜哨戒機なんですね」
「うむ、広域探査を飛行艇でしているがやり過ごせるからな……ヘリならその場でとどまり水中聴音機を垂らせば飛行出来る限り動けなくなる」
ヘリに関しては米海軍は懐疑的な意見が多かったが大西洋戦線を任されている将校は少しでも対Uボートに効果があるのなら寄こせと言う位に逼迫、更に極光艦隊や英国との兼ね合いから最新鋭兵器の運用を見せつける必要もありヘリコプター研究は進んだ。ヘリが探査しその地点を艦爆機や駆逐艦が魚雷や爆雷で攻撃、これにはUボートもひとたまりにも無く数多くのUボートが大西洋の海底へと消えた。
大西洋戦線を担当する参謀らは気を良くしてサイパン級空母一隻をヘリ空母“シーセイブル”として配備、更に訓練航空母艦セイブルをヘリ専用訓練空母に転用、この船はアメリカ海軍の艦艇だがこアメリカ大陸にある五大湖を航行する“外輪推進客船”である。アメリカは工業力にモノを言わせて各種空母を建造していたが主戦力になる艦載機パイロット育成になると難しく、WWU当時に建造された百隻に近い空母艦載機パイロットとなると最低でも五千人は必要になる計算になる……これに戦闘による消耗(=戦死や各種後遺症による飛行操縦不可能)を考慮すれば短期間にこれの三倍、即ち一万五千人を超えるパイロットが短期間で必要になる。陸上基地で基礎を積み上げたパイロットを艦載機乗りにするには実際の空母での離着陸訓練を要する。当初は実戦配備された空母を作戦運用の合間を利用していたがホワイトハウスとは想定された以上に最悪な事態が起こり、日本やドイツに空母が沈められる事も珍しくなかった。
特に太平洋戦線の場合はハワイを占拠された事も空母搭乗員育成に大きな影響を与え、日本による本土侵略でどれだけの犠牲が出るのか海軍は恐れていた。ましてや空母での訓練は時に操縦ミスによる重大事故も起きており死亡事故も起きていた。

悩める参謀本部にある海軍将校は奇想天外なプランを提示。


       五大湖にある外輪客船を訓練専用空母にする。


参謀本部に居た将校の面々も当初は驚いたが冷静に考えると理に適った計画だ。五大湖は湖だが広大であり、大洋の様に波浪による影響も少ない……艦載機乗り候補生にとっては比較的安全な環境だ。
リスクと言えば五大湖周辺にある工業地帯を日本かドイツの長距離爆撃位だが幸運にも日本はB−30クラスの爆撃機を持たない分析結果(これは第一次パナマ運河爆撃であっさり否定されるが)やドイツは対ソ連戦でアメリカ本土まで攻撃する余裕が無い……普通なら参謀本部でない海軍将校の上申書なぞオイルライターで燃やされるのが当たり前だがこれは画期的だ、要は実戦配備されている空母での着艦訓練の前に五大湖にて訓練専用空母で錬度を積み上げれば操縦ミスも減る訳だ。更に五大湖で航行している外輪客船を空母化する事で予定されている艦艇建造計画を修正しなくて済む……一日も経たないうちにその計画を提言した将校を責任者にする事で決まったと言う。彼の名はアーノルド.L.フランクリン……後に“アメリカ海軍のパットン”と呼ばれるようになった奇将である。余談だが後部砲塔を喪失したニュージャージを航空戦艦化を提言したのも彼だ。彼も一時期は海軍を辞して大学にて心理学を学んでいたおっさんである、そんな中太平洋戦争が開戦しハワイ陥落と言う最悪の事態になっても彼は復職する事はなかったが士官学校同期の説得で渋々復帰したのである。

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