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lost/bombs
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lost/bombs 100

雄太が世界強化で陽炎を纏い、骸が全身の炎を滾らせ焔尾を打ち鳴らす。二人の視線の先には30トンの拳の直撃を受けたはずの美女が、口はしに咥えた煙草すら落とさず佇み、不敵な笑みを浮かべる。
「狗神ならぬ神喰い狼(フェンリル)にでもなりたいの。そしてそちらは黒神(スルト)かしら?」
「「知るか」」
雄太と骸は左右に飛び、曲がる軌道を取りながら左右から黄泉の女王を挟撃する。

「死ねや!!」
骸の豪爪が振り下ろされる。美女は後ろに一歩下がることで交わし、そこへ雄太の強化された拳の弾幕が放たれる。数千の拳の銃弾の乱舞に大地が微塵に砕け散り、その中を優雅に踊るようにして躱す美女。その指先が漆黒の灯火を纏って宙を撫でる。空気が食われ、一瞬の真空が生まれる。次の瞬間、逆圧力がかかり、雄太と骸が引きずり込まれる。
「ガッ!」
「ゴッ!」
それぞれの顎に美女の掌底が打ち込まされ、吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。ただの打撃だが、そこは神様。蓄えてる世界の規模が違う。砕かれた顎、口端から血を零しつつ雄太が地面を突き刺し、跳ね上げる。土砂が波濤となって美女へと迫り、それをまたもや漆黒の灯火で喰らう。土煙が消えるよりも早く深紅の針が彼女の額を貫く。
深紅の針の正体は硬度強化された雄太の血液。額に突き刺さった針が無造作に引き抜かれ、傷口からは虚ろな漆黒が覗き、その傷もすぐに癒える。雄太の姿が加速によって残影を描き、黒衣の美女の周りを焔尾が踊る。大地が融解し溶岩になりつつある大地を駆け抜け、雄太の回し蹴りが美女の手に止められる。拳や肘、膝蹴りによる連撃が次々と放たれ、二人の間で交錯する。
「全く」
黒髪を靡かせ美女は笑う。
「子供遊びね」
細い拳が雄太の頬に叩き込まれる。その瞬間、余りの圧力に風景が歪み、次の瞬間、雄太の姿は物凄い速度で地面と水平に吹き飛ばされていた。側にあった建物を貫き、更に背後にあった建物も貫き、およそ十いくつかをぶち破って雄太が倒れる。今度はただ世界を打ち付けられただけじゃない。その余波≪因果率≫を内部に注ぎ込まれた。まるで蟲に食われる果実のように雄太の中で暴れる≪異常気象≫≪憎悪≫≪戦争≫に血反吐が止まらない。

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