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lost/bombs
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草薙雄太という名前も少年がいる。
十八歳、高校三年生。黒髪黒目の平凡な少年だが彼は殺人鬼だ。彼は今まで生きているうちに既に三百人以上の人間を殺している。
理由は無い、意味は無い、衝動が湧き上がるままに殺した為、赤子、老人、女性男性区別ない。
「あー、面倒クサ」
雄太は溜息を漏らしながらナイフを起用に動かし今宵の獲物を解体していく。
胴体を、頭蓋骨を、皮膚を、内臓を、眼球を、神経を、丁寧かつ素早く解体していく。
手馴れた作業だ。まあ、三百回以上は繰り返せば慣れる。
そんな雄太の指がふと止まる。
理由は無い。そう考えた理由は無い。ただ感覚――今先に獲物を刈り取るまでに研ぎ澄まされていた感覚が危険を訴えている。
雄太はナイフを掴んだ。辺りに視線を走らせ、全身を緊張させ、死体は地面に投げ捨てる。
グチャッと屍が鈍い音を立てるよりと同時に――、
風を切り裂いて、直線状にある公園の木々を切り裂きながら何かが迫る。
「っ?!」
辛うじて雄太のナイフが受け止めるが、その威力は凄まじい。そのまま雄太は吹き飛ばされ、公園のベンチに激突、粉砕し地面に叩きつけられる。
全身がグラグラと揺らぐ程の激痛。けれど瞬時に雄太は倒れた状態から体勢を整えなおし、上空から放たれた爪を交わす。
「一体なんだよ!?」
尋ねるが答は無く、夜の闇の中で爛々と輝く双眸が雄太を睨み、その爪を走らせる。
その速度は桁外れに速い!
まるで残像すらも浮かぶ速度の爪をナイフで弾き、火花が花火のように乱舞する。
次世代の人間にたまに生まれる『特異進化者』
その中でもAAランクに匹敵する『強化』を操る雄太が身体能力で押されている。
ナイフが六十を越える程の衝撃にへし折れた。
砕け散る破片。それを蹴りで打ち込む。弾丸速度まで走る破片をそれは物凄い動体視力で見切り、距離を取る。数十メートルもジャンプしながら、それでも着地音は無音に近い。
その時、夜が切り裂かれ、満月の光が敵に降り注ぐ。
「チッ、最悪だ。獣人体なんてな」

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