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lost/bombs
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lost/bombs 96

「死んどけや」
灼熱の尻尾が黄泉の脇腹を直撃、そのまま一瞬で肉を蒸発させる。しかし、その刹那の瞬間、肉が溶け、骨が果てる前に黄泉の≪黄泉帰り≫そして≪空蝉≫が発動する。上空から降ってきた拳銃の片方を掴んだ黄泉が巨犬へと射撃する。世界を貫く≪白蛇弾≫に骸は苦痛の悲鳴をあげた。
「痛ってねぇなあ!!」
灼熱の尻尾が落ちてきた黄泉の身体を捉え、一瞬で蒸発させる。しかし、その寸前、黄泉は拳銃を投げ捨て、それをもう一人の黄泉が掴んでいた。二丁拳銃を翼のように構える。骸は牙を鳴らして獰猛に笑った。
「おいおい、テメェ、そんなに世界を削りすぎだろ。蛇だから脱皮をするってか。お前の場合は生皮を剥ぎ取って逃げてるようなもんだろ。中身が無くなるぞ」
「・・・・・・・・・・・憐れむな」
「憐れんだりしてねぇよ。つーか、誰が憐れむか」
骸の口腔から無数の火球が放たれ、銃撃が打ち落とす。二人の中間で爆炎が吹き荒れ、その中を十字に切り裂いて焔尾が二本走る。触れれば一瞬で蒸発する超高熱の攻撃を黄泉は烏が舞うように交わし、そして回避した地点に降り注ぐ三本の尾。
「・・・・」
黄泉の瞳が赤く染まり、その身体が霞のように揺らぎ、分裂、四つに分かれたうちの三人が三本の焔尾へを防ぎ、残った一人が怒涛の攻撃を躱し切る。
その手が二丁拳銃の銃弾を放とうとするが、それよりも早く餓犬の巨大な右の鉤爪がハラワタを引き裂き、彼女の身体を吹き飛ばしていた。
瓦礫に叩きつけられ、崩れ落ちる黄泉の腹部からは痛々しい傷痕と臓物が覗き、その傷が霞かがる。しかし黄泉還るよりも早く餓犬の両手の爪が何度も彼女の身体を叩き潰す。再生よりも早く殴打、しかし死滅する寸前に辛うじて回復しかし殴打によってまた潰される。
「んだよ、まだ死なねぇのか。しぶといな」
「が・・・・あ、・・・・う・・・ぁ」
朧が必死に右腕を持ち上げようとするが、その肘は粉々に砕け散り、更には脳味噌の半分が炎に焼かれて黒灰となっていた。全身は無惨というよりは血肉が飛び散り、辛うじて肘から切断された左腕と乳房より上の身体があるだけだ。何度も殴打される度に何度も死んだ。生き返り、そして何度も潰された。感情を殺された身体にも恐怖を怯えるほど痛い。
痛くて、痛くて、痛くて、ただ痛い。何度やれても痛みに慣れることなんか出来ない。

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