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lost/bombs
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lost/bombs 93

「疾ッ!」
「破ッ!」
二人の拳がぶつかり蹴りや肘などが二人の間で乱舞し側にあった全てを薙ぎ払う。それだけでなく朧が打ち砕いた物は全て凍結し、壱虎が砕いたものはどこかへと消える。『力』を込めた攻撃の余波が雄太の横を突き抜ける。
余波が吹き荒れる中、雄太は視線を二人から移す。狼と虎の猛攻を無視して建物の廃屋、その向こう側で爛々と瞳を汚して佇む、一人の化物を見る。二丁拳銃と黒衣と黒髪を靡かせる見慣れた姿は、しかし、見果てるほどに朽ち果て、無様というより滑稽だった。ガチッと二丁拳銃の銃倉に薬莢に叩き込まれ、その引き金がかかる。その背後に揺らぐように白い大蛇が見えたのは幻影かそれとも幻想か。
「よく考えなくても貴方には無礼をしてしまった。謝りたい頭を下げてもよろしいですか?」
優雅に挨拶を述べる雄太の足元に火花。突き刺さる銃弾と殺意の中、雄太は柔らかな微笑と共に一礼。更なる銃弾を跳躍して交わし、そのまま漆黒の女騎士へと突進。銃口が跳ねるように雄太に向けられるが、世界外へと強化した雄太の前では遅い。横殴りの右拳が黄泉の体へと放たれ、それは霞を斬ることなく細い鳩尾に突き刺さる。嘔吐を吐き出しながら黄泉は吹き飛ばされそうになり、それより早く雄太の右手が彼女の細い首を掴む。
「ゴフッ・・・がぼぇう」
「あ、ごめん。首を掴むのはやばかった」
嘔吐を続けてる所に首を押さえたせいで嘔吐が鼻から漏れていた。手を離すと彼女は地面に嘔吐をはき捨てる。背後では相変わらず戦闘の嵐、乱舞、激闘。
「死んでしまえ、この馬鹿虎」
「ワンコは骨っ子でも噛んで遊んでろよ」
「犬扱いしたな!弧月の名を馬鹿にしたな!」
「はいはい、馬鹿にしたよ。それが何か♪」
「殺す!」
子供らしい罵倒とは反対に迸る殺意には一切の躊躇が無い。凍気の剣が風を切り裂いて壱虎の四肢を穿つが、それは残影だった。本来は既に別の場所に映っている。
「虎歩か」
「へぇ、結構含蓄があるんだね」
「仙術の奥義と言われる移動術。その本質は縮地や移動転移ではなく世界を渡す術だと教えられた。極めれば他者の精神世界に入り込むことも出来るらしい」
「そこまではさすがに使えない。だいたい人の中に入るなんて頼まれても嫌だね」

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