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lost/bombs
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lost/bombs 88

メロも血塗れのボロボロでたちあがる。しかし、背中の双刀は無事だった。大人の台詞に刹那は頷く。
「ああ、知ってる。けどな、俺はガキなんだよ。どうしようもないガキだ」
だから。
「壊す!」
「子供の夢は大人は守らなくてはならないというのが昔からのルールらしい」
メロが双刀の柄を掴み、厳かに力強く構える。四肢から溢れ出る剣気は冷たくはなかったが、巨大で強かった。
「世界を壊されては困る。お前の自分勝手でな」
「だから知るかって言ってんだろ!!」
刹那が銀のドリルの後ろから灼熱の炎を噴出しながらロケットのように加速。メロの二つの剣戟が無数の残影の球体を作り上げる。そして三度攻撃が激突する寸前――隣のビルを破壊しながら二つの人影が飛び込んでくる。

「邪魔だ、どけっ!」

雄太の強烈な右裏拳が刹那の顎を捉え、メロの斬撃の乱舞の中を、苛烈な少女の貫手が貫く。あれほどの戦闘の中でも砕けなかった双刀の欠片の中、ニヤッと虎の笑みが浮かぶ。無造作に黄金と黒が混じった長髪から覗く、それは虎としかいいようがなく、しかし十二騎の中では虎は虎仙しかいない。僅かな思考停止がメロの命を停めた。
「温いよ、あんた。だから虎の餌になっちまえ」
少女の右腕がメロの胴体に深々と突き刺さる。抜き取られる指先には脈動する肉塊が掴まれている。その肉を何の躊躇もなく咀嚼し、少女は血塗れで拳を振るう。
「あひゃはははっははははっ、あんた爺さんを殺したんだって」
少女の拳が大地を穿ち、瓦礫を噴き上げる。その中を駆け抜けながらの雄太の右回し蹴り。かがむことで少女は躱すが、黄金の髪の数本が舞う。その顔に驚きと喜びが浮かび、そして独楽のように回転する雄太の数十発の連続蹴りが降り注ぐ。
少女は跳躍して交わし、そのまま側にあったビルの残骸の上に着地、フシューッと猫があげる吐息を吐く。
「あの爺ちゃんは、あたしが殺したかったんだよな」
「知るか」
雄太は返事を愚かに隻腕となって右の拳を構える。
右腕の膂力を限界まで強化してるのに押される。
「どんな腕力してんだか」
雄太は苦笑しつつ、今先連続蹴りを交わされ、打ち込んだ瓦礫が砂になる音を聞く。
「へぇ。さすが爺ちゃんを殺しただけあるな。感心すっぜ」
「復讐ってキャラでもねぇな」
「キャラ? くぁはっははっ、キャラなんてこの世界で無意味だろ。昔聞いた歌で、世界でたった一つの花なんてほざいている歌があったが、何百何千あってもチューリップはチューリップだろ」

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