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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 86

決して崩れ落ちることが無い砂上の篭絡などありはしない。それが人を作ったものなら、なお更だ。しかしそれを崩したいのかは人それぞれ。
こんなものは玩具だと一時の遊びだと崩したい者がいるだろう。しかし、それを出来る限り伸ばしたいのもいるのだ。
夢幻の世界を守る騎士団と、気に食わない世界を壊したくてたまらない狂人たち。
「御伽噺のような物語」
テロリストという言葉は相応しくない。この世界は全て戯言。一冊の書物の夢。まどろみに眠る太神の一幕。黄金の海に浮かぶ一片の土。いつ終るかもしれない世界で安息を抱けるほど人が強くないことは、彼女は知っていた。
「・・・・・踊れ、踊れ。刹那と那由他の狭間で踊れ」
彼女は歌う。優しく切なく美しく、どこまでも澄み切った声で神は無様な人間達を見て歌う。世界は既に黙示の日に突入していた。

≪エンディング≫まで、あと少し。

無数の光線と弾丸が荒れ狂う天上の闘争。劫火が踊り、硝煙が雲のように揺れ、必死の雄叫びが虚空を揺らす。しかし、実力差とは悲しいものだ。神の僕たる十二の王とはいえ、二人の悪魔相手には敗北しかない。
「・・・・・・オオオオオオオォ!」
龍の顎からは濁流のように血が零れ落ち、その身体は無数の傷痕が穿たれる。辰の生命力でなければ間違いなく死してる致命傷。そして悪魔二人も無事ではすまなかった。
「さすがですね・・・・っ」
永劫の背中に生まれた十二枚の銀翼の四枚が砕かれ、その左手が食いちぎられていたようになくなっていた。猫の少女も銀髪の間から血が顔を染め上げるように流れている。
「でも終わり」
猫の少女の指先に巨大な変異術式の魔方陣が生まれる。
「ウーラノス」
変異術式の表面が荒れ狂う雷光がその中に溜め込まれた神雷力の威力を物語る。地上に放てば大陸一つが消し飛ぶ程の威力。
それを見て辰は眉を潜めた後、獣王化を解く。大きな湯気の中から現れたのは中華の服装を纏った翠髪の―――猫に顔立ちが似た二十歳になったぐらいの美女だった。豪華絢爛な法衣は所々が破れ、傷口が覗くが、その凛々しい顔立ちには諦観が見えない。

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