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lost/bombs
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lost/bombs 83

殺すっすよ、と言おうとした彼女の瞳が丸くなる。初めて気付いたとばかりに朧の銀髪と碧眼を見る。
「あれ? もしかして弧月っすか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
彼女の返事は瞬拳。凍気を纏った拳が血兎の頬に叩き込まれるよりも早く衝撃の盾が防ぐ。凍気と衝撃の間で空気中の水分が凍結、粉砕され雪となって舞い散る。
「誰?」
「いやいやいや、誰だって紅兎だよ。ファクトリーで一緒だったじゃん」
「・・・・・覚えてない」
朧の肘が氷の刃を生み出して打ち込まれる。衝撃の盾が展開される空間を見切っての一撃を血兎――紅兎は首を逸らして躱すが、頬に一陣の傷が生まれた。
「これでも子供の頃は親友だったんだよ。いきなり攻撃は傷つくから」
「お前は血生臭すぎる」
「ん? ああ、君のお兄ちゃんとやりあってたっすから。強かったっすよ、赤犬」
「そのことじゃない。お前の体からは死人の返り血が多すぎる」
朧の両手が霞となって消えたようにみえるぐらいの速度で拳や肘が打ち込まれ、紅兎は全身に打撃を受ける。雄太に備わってない人狼の第六感ともいえる感覚が、衝撃波の盾が発生する空間を捉え、それを掻い潜るように拳を打ち込ませる。
「がほっ、酷いっすよ」
「それに騎士団は気に食わん。異貌憑きと同じくらいに、な!」
腰を回転させながらの渾身の大正拳突き。衝撃波の盾をぶち抜いて紅兎の腹に突き刺さり、そして凍気が炸裂する。近距離の凍気をまともに浴びて紅兎の全身は凍り・・・・つかない。
「幼馴染兼親友まで敵に回すなんて騎士団も因果深いっすね〜」

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