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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 82

砕いた氷鎖から凍気が昇り、雄太の左腕に霜を作り出す。体温をあげることで抵抗し、彼はそのまま手首を捻る。
「うわっ!」
朧が引き寄せられる力に抵抗できず、こちらに飛ぶ。そこへカウンターで回し蹴りが朧の身体を打ち据え、地面へと叩きつけた。朧の体が地面で跳ね、その脇腹に掌底を叩きつける。震脚に地面が震えた。
足から伝わる力が身体を伝わることで複雑に増幅され掌から放たれる発剄。しかし朧の身体を伝わるよりも早く脇腹の寸前に作られた硝子のように砕け散る氷によって震動は受け止められ、霧散する。
そのまま流れるように朧の回し蹴りが雄太の首筋を鎌のように薙ぎ払う。
「くっ!」
唯一の隻腕を突き出した状態から上半身は守れないと首筋の筋肉を強化するが衝撃に、雄太は吹き飛ばされた。
それでも地面に手をつけ立ち上がる雄太に飛び込んでくる人影。左腕を薙ぎ払うように突き出した中を潜り抜けてきたのは栗毛色の髪の兎人だった。
「だから!」
左腕を交わしたタイミングで膝を放つ。強化はしてないが手加減もしてない。人間の頭蓋骨は簡単に砕ける一撃が、しかし、彼女の手前で受け止められる。見えない壁があるかのように、そこだけ風景が歪み、そして膝が痙攣していた。
血兎が作り出した空気の壁が防壁となっているのに気付くのと血兎が物質崩壊を招く衝撃波の槍を叩き込むのは同時だった。全身を最高まで強化。細胞が凄まじい震動に崩壊を始めるのを必死で押さえつける。
「ぐううう、がああああああああっ!!」
左の拳が衝撃波を殴りつける。圧縮された空気が爆発して血兎と雄太が吹き飛ばされる。土煙を上げて地面を何度もバウンドする雄太とは反対に血兎は咄嗟に風を纏ったのか、そのまま見事着地した。
血兎が全身から高速震動を受けた衝撃で湯気を立てる雄太を見て唇を歌うように尖らせる。しかし放たれるより早く朧の蹴りが襲いかかり、阻止された。
「・・・・・何っすか?」
「それはこっちの台詞だ。何勝手に獲物を取ろうとしてる!」
「任務っすから。邪魔するならアンタも――」

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