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lost/bombs
その他リレー小説 - アクション

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lost/bombs 81

辰の強烈な炎の吐息(ブレス)が二人に襲いかかる。
その瞬間、猫の囁きが永劫に聞こえた。
「話が長すぎだ」



「早すぎる」
朧は口から漏れそうになった愚痴を奥歯で噛み、右手から氷の鎖を伸ばす。氷の鎖は雄太の蹴った建物の側面に突き刺さるのみ。返す手で凍る風を放つがそれすらも追いつかない。
黒い外套がはためく。まるで狼のように雄太を彩り、それが酷く気に食わないと朧は更に手数を増やす。
膨れ上がる怒涛の攻撃の中を雄太は交わしながら肩をすくめ、下から突然襲いかかった衝撃の槍を辛うじて躱した。
「なんだ?」
雄太が下を向くと栗毛色の兎耳をした少女が全身をボロボロにしながらも雄太を睨みつけていた。
「誰だろう?」
ふと雄太が呟いた、その隙を狙って朧が拳の間合へと距離を狭める。
「ふっ!」
右の正拳が唸りをあげて雄太の胸――心臓へと放たれ、それを雄太は左の掌で受け止める。バシッと音を立てて湯気と凍気が吹き上がり朧は更に蹴りを放つ。
雄太は膝を上げることで受け止めた。
轟音が弾け、二人が吹き飛ばされる。空中での衝突のままに地面に吹き飛ばされ、見事着地したのは両方だが、片方はそれだけではすまなかった。
「っ!」
地面を抉りながら衝撃波が襲いかかり、腰を捻りながらの左の掌底で迎撃する。衝撃波が弾け、破片が弾丸のように辺りに突き刺さり、その中を雄太は冷徹の視線で向ける。
「誰だか知らないが喧嘩を売ってるのか?」
「喧嘩は売らないッス。殺し合いを所望っす」
「悪い。それはもうやらないんだ」
雄太は死角から迫る氷の鎖を首を傾げることで躱すが鎖はそのまま雄太の身体をグルグルと絡みつく。彼は溜息した後、鎖を握り潰した。
「それに先約があるし」

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